FEATURE > HONEYEE.COM AWARD 2005
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Hiroshi Fujiwara
Kiki
Seita Fukui
Tsuyoshi Takashiro
Yoshikage Kajiwara
Jun Takahashi
Kazuki Kuraishi
Shunji Mori
Sinji Aoyama
Michiharu Shimoda
Mika Noguchi
Shuwa Tei
Shuzo Kita
Kiyoshi Wako
Fumiaki Ishimitsu
Manabu Kawaguchi
Susumu Nagao
 
福井盛太
フリーライター&エディター&出版プロデューサー
http://blog.honeyee.com/sfukui/

「2005年に読んだ本のなかから、特に印象に残った5冊をジャンル横断的に選んでみました。『半島を出よ』や『容疑者Xの献身』は、いわゆるベストセラーですが、読んでみたらすごく面白かった。どちらも一度読み始めたらとまらない。年末年始の読書にもピッタリだと思います。一方、『サン=ジェルマン=デ=プレ入門』は、読み手を選ぶかもしれませんが、好きな人にはたまらない1冊。バロウズやケルアックにハマったことのある人や、建築に興味がある人におすすめ。2005年を総括すると、世の中の事象をみっちり取材して書かれた、良質なノンフィクションが少なかった気がします。普段はノンフィクションを好んで読むのですが、今年は不作の年だったのかも」

no1
村上 龍/幻冬舎
綿密な取材に基づいたリアルな描写が見事。
「北朝鮮の特殊部隊が福岡ドームを占拠して、福岡を独立国にしてしまうというストーリー。ここで描かれているような非常事態が現実になったとき、国政に携わる機関が機能不全に陥ってしまうのは、ありえない話じゃないかも…。そう思わせるくらい、描写がすごくリアル。非常に綿密に取材して書いているな、という印象を受けます。かなりの長編小説ですが、わくわくしながら一気に読みました」

no2
ボリス・ヴィアン/文遊社
哲学的散文で描かれた、
都市論の傑作!
「パリのサン・ジェルマン・デ・プレ界隈をメタ的に斬った都市論です。文学、映画、ドラッグ、セックス…といった幅広い視点から描かれていて、最後まで飽きさせません。日本の都市論のような情緒的な描き方ではなく、文体は“哲学的散文”といった感じ。ビートニク世代にはたまらないでしょう。レム・コールハースの名著『錯乱のニューヨーク』を想起させる傑作だと思います」

no3
東野圭吾/文藝春秋
とにかくプロットがすごい。
最後には驚きの結末が!
「あまりミステリーは読まないんですが、これは人に勧められて読んだらハマりました。ミステリーでありながら、純愛小説的な要素も含んでいて、文体のリズムも良くて読みやすい。そしてなにより、プロットがすごい。ミステリーといえばどんでん返しがお約束ですが、この作品の結末のどんでん返しは…ネタバレするので詳しくは言いませんが、アッと驚く結末が待っています」
 
no4
金井壽宏/日経文庫
リーダーになりたい人や
監督フェチ(?)必読の書。
「著者の金井さんは神戸大学大学院の教授でありながら、『ウルトラマン研究序説』や『踊る大捜査線に学ぶ組織論入門』といったユニークな著書もある人。で、この『リーダーシップ入門』は、彼のリーダーシップ論が“理論”と“持論”のふたつの軸でわかりやすく書かれています。組織のリーダーや、これからリーダーになりたい人、あるいは僕みたいな監督フェチ(笑)におすすめの1冊」
 
no5
門倉貴史/角川Oneテーマ21
日本の税制の問題点が
楽しみながら理解できる。
「帯に書かれていた「さおだけ屋にも実はカラクリがあった!」というコピーに惹かれて買いました。内容は真面目な税金の話が中心ですが、随所にクスッと笑える記述が散りばめられている。たとえば「筆者のヒアリング調査によれば、ソープランドで働く女性のほとんどが確定申告という言葉すら知らなかった」とか。どういうシチュエーションで取材したのかな?と想像してしまいます(笑)」


2006年は…?
「今年に限らず最近は、普段ほとんど本を読まない人向けの本、つまり読みやすいけど内容の薄い本ばかりが売れている気がします。その傾向はちょっと残念ですね。しかし一方で、昨今の日本語ブームの影響からか、昔の純文学を見直す流れがあることも事実だと思います。2006年は、小説やノンフィクションといったジャンルを問わず、深みを感じる作品の登場に期待したいですね」
 
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