── そうしたオルタナティブな新しい社会のモデルのひとつとして、たとえば“セカンドライフ”のようなものに幻想を持っている人もいるかもしれないんですが…… |
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T: |
「それは違うんですよね。我々の現実をインターネットに置き換えるというのはかなり古いと思います。そうではなくて、インターネット的なものを、外にどう出すかというのがポイントで。インターネットで何かするのではなくて、インターネット的に生きていくことが、これから一番重要だと思いますね。インターネットで書き込みをしている時に、匿名掲示板にわざわざ名前を書かないですよね? 同じように、自分とは全く違う、もう一人の自分をリアルライフの中に持ち込めるかどうかが非常に重要なキーワードになると思いますね」 |
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── パーソナリティーを幾つも使い分けるということですか? |
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T: |
「もう一人の実際には存在しないリアルな自分を持てるということです。もう、何言ってるかわからなくなってきたでしょ? 15年前にインターネットのことを説明したときも、まったく同じでした。ここ数年のインタビューで、ITは終わったと言ってきましたが、そうではなくて、インターネット的に、リアルワールドの中で生きていくことが、これから5年ですごく重要なんですよ。実は、リアルワールドには必ず歪みというかバグというかホールがあります。そこを突くのです。それを僕は何と言っているかというと“ソーシャルハッキング”と言っています。20年前の無手順通信の時代のハッカーだった僕は、偉い所のサーバーにアクセスして、色々なデータを持ってきて、悪態つくのが生きがいでした。グラフィティも昨今のピストも、ストリート・カルチャーの根底は違法行為です。その違法行為は、社会の対する挑戦のようなもので、褒められるものではありません。しかし、そこに未来はあったのです。だから、今度は、いまの社会というシステムの歪みから侵入し、新しい自分のエイリアスを構築して活動する。そういうことができる時代にやっとなったので、これからは“ソーシャルハック”に本当の自由で楽しいことが詰まってると思います。時代の波の狭間は、いつも楽しみですね」 |
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