── かつて、ITでフロンティアを目指していた人達が、現在グリーン・カルチャーを目指しているのはなぜなんでしょう? |
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「“気持ち良くて、楽しい”から、が理由のほとんどです。15年前のITって気持ち良くて、楽しかったんですよ。そこはまっさらで、これからの可能性が無限大にあって、スーツを着たウザい”ビッグ・ブラザー”がいなくて、本当に“自由”な感覚をそこでは楽しめたんですね。でも、今IT業界と呼ばれているところにいる人達って、ウォールストリートの人たちだったり、六本木ヒルズ、ミッドタウンの人たちが大半ですよね。あと、小銭集金サービスの代替モデルのようなのばっかり。世界を変えていこう、という気骨をもった人には、年々会えなくなってます。それはもうつまらないんですよ。グリーン・カルチャーって今、自由に出来るいまのグリーン・ワールドには、世界を変えていこうというヤバいヤツがいっぱいいて楽しい。例えばグーグルの創始者であるペイジ(註1)とブリン(註2)なんかも、電気自動車の会社に大金出資したりとか、アップルをやめて地熱発電の会社やったりするヤツもいて、みんなそっちへ行っていますよ。自由、楽しい、いまなら好き放題出来る」 |
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(註1)ラリー・ページ…Google創業者、現製品部門担当社長。
(註2)セルゲイ・ブリン…Google創業者、現技術部門担当社長。 |
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── グリーン・カルチャーというのも今に始まったことではきっとなくて、それは60年代からのニューエイジ・ムーブメントだったり、ヒッピーカルチャーみたいなものの良い部分、クリエイティブな部分が連綿と脈打っているわけですよね。 |
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「フロンティアを目指している人たちは、常に時代に鋭敏です。例えば、30年前だったら、友人数人で世界を変えようと思ったら、バンドをやったと思います。15年前だったら、ゲームやインターネットのデジタル企業。10年前だったら、カフェか洋服屋だったと思います。自分達のコミュニティがあって、そこで新しい音楽をやったり、新しいメディアを作ることからはじめる。そしてそれは内輪のものではなく、世界を変えようとする熱い思いがある。今なら、仲間同士で電気自動車の会社をつくったり、電力会社をつくる、というようなことだと思うんですよ。風力でも、太陽光でもいいですけど、仲間内で自分達の電気は自分達でつくる。余ったら供給するとか。アメリカでは、古い友達に会うと、みんなそういうことを何かしらやっている。日本は残念ながらまだまだですね。それは何でかと言うと、ひきこもっているからに他なりません」 |
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