THINK PIECE > Hack The World !
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今の日本ブームは、円高に振れたら終わり。
 
── もうひとつは、日本人が自信を無くしているっていうのもある気がするんですよ。
 
T: 「多くの日本人が自信をなくしているのは、事実だと思います。だからチャンスなんです。ちょっとしたことで、メキメキと頭角を表すことができるのです。例えば、このインタビューを読んで、仮に一か所明らかな間違いがあったと仮定しましょう。その時に、このすべてのインタビューはおかしい、高城は駄目だ、という人と、残りの99%の中から、なるほど、こういう見方もあるのか、自分はこうしよう、という人の差だと思います。
自信がないと、人を落とすことで相対的に自分を見ますからね。大切なのは、自信のありなしではなく、冷静に現実を見ることだけです。そこに自分なりの解答は絶対にある。一寸先は、光、と僕はよくいいます。また、世界的に見ていまの日本はチャンスだといえます。史上まれに見る円安+デフレですからね。
トヨタがなぜ業績が良いかといったら円安だから良いわけですよ。日本国内だけでは、事実上マイナスです。日本のファッション、カルチャーが世界中でもてはやされている理由の多くも円安だからですね。いま(2007年夏)は、すでに同じブランド製品だと韓国のほうが高いですからね。円安だから、世界中で日本ブームなわけで。それに気付いてないのはまずい。円高かインフレになったら終わっちゃいますよ」
 
── 逆にいうと、円安を続けようというような努力というか、今の世界の構造の則って『アメリカが金融、中国が今後の巨大マーケット、そこに日本は製造業として入って行く。金融は弱いのでやられちゃうから、なるべく円安の状態にドルと協調して保っておいて、クオリティの高いものを安く提供する国として自分達を位置付けよう』とする発想もあると思うんですけれども、それも…
 
T: 「それも違うと思いますね。今の社会構造に限界があって。資本主義って基本的には利子を稼ぐ構造ですから、資本をどこに投下して、それからどう利回りを出すか、という構造。でもそれには限界があって、例えば日本に投資してそろそろ本気回収、その次に中国、またその次がインド、で、その次にはNEXT11(註3)とか、VISTA(註4)、タイ、ベトナム…」
 
(註3)NEXT11…ゴールドマンサックスが提唱した経済発展地域の候補。
バングラディッシュ、エジプト、インドネシア、イラン、ベトナム、韓国、
メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、トルコを指す。

(註4)VISTA…BRICs経済研究所が提唱した造語。今後経済発展が予想
される国、インドネシア、トルコ、ベトナム、アルゼンチン、南アフリカ
を指す。
 
 
── 最終的に、アフリカまでやりつくしますよね。
 
T: 「そうそう。限界があるじゃないですか。どこに行っても、自然を食っていくしかないんですよ。ということは、環境問題対資本主義ということになっていって、それは限界がありますよね。だから、話を戻して日本の経済について言えば、問題は日本に財務がわかる大臣がいないってことですよね。今、必要とされる政治力って、昔の政治力、エグい政治力ではなくて、国家経営力と外交能力だけなわけですよ。国家経営力と外交能力がある政治家、役人がいないってことですよね。それが問題だと思います。だから金融政策が立たない。国際問題の前にアジアの近隣諸国との話すらまとまらない。未だに過去の亡霊、正確には高度経済成長のピークだった80年代末の昭和グルーヴを引きずってるんです。土地本位制度や過去の成功体験とかね。いまや3年前の成功体験もあてにならない。むしろお荷物ですね。それは政治家もクリエイターも同じです。共にいま大切なのは、過去の実績ではなく明確な次のビジョンです。話していて、ビジョンがなく、その場しのぎのネタほどダメなものはないと思います。そして、ここ1、2年世界の風潮が変わってきたな、と思うことに、『お金持ちはカッコ悪い』というのがあります。ビル・ゲイツやバフェットをはじめ、世界中のお金持ちが、資産のほとんどを寄付などによって手放しました。
 
 
  これはかなり面白いですね。株価は下がっても、人の株は上がるということでしょうか。これは、面白い動きだし、僕自身もやっと本気で寄付をはじめました。
やってみてわかることが、いっぱいありました。お金は集める時代から、どう使うかセンスが問われる時代に突入したということでしょう。
また、冷静に投資の行方などをみていると、今、不動産を持つことは最大の悪だと、世界では言われているわけですよ。どうなるか分らないから。今、アートと不動産が一番まずいわけでしょ。ストックになっちゃうから。株は風説の流布など色々な問題があるから、代わりに規制がないアートの値段を吊り上げているわけです。アートと不動産を買っているのは、オイルマネーの人達と時代が見えてない人だけで、わかってる人は、奴らにババを引かそうとしているわけで。
時代は、フロー型にしていかなきゃいけないから、金融商品ばっかり集めているわけじゃないですか。そっちに行かないで、日本の銀行は未だに不動産とか言っているわけで。ありえないですよね。『不動産なんか持っているんですか、そんな危ないものを持っているんだったら、お金貸しませんよ』というのが世界の常識ですよ。どこかで破綻しますね」
 
 

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