1970年代より古い(ヴィンテージ)時計に着目し、現在は気鋭の時計師たちによる斬新な新作に注目する、日本の機械式時計のご意見番・松山氏。機械式時計がここまで人気になった理由、そしてこれからの腕時計業界の行方について聞いた。 |
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1946年、京都生まれ。
グラフィックデザイン、フォークブーム時代の作詞等手がけた後、東京に移住。
雑誌編集者を経て作家、作詞家、趣味人として、テレビや雑誌など多くのメディアで幅広く活躍する。 |
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そもそも時計の世界へ入ったキッカケは、1970年代の半ばに古い腕時計に興味を持ったこと。(クォーツが精度を極めた当時)時刻を知るという時計の使命が、クォーツが正確だというだけで、せっかく人間が築き上げてきた機械の歴史が終わってしまうのかと。このままでは俺が欲しい時計がなくなる、これはいかんな、と思ったんだよね。 |
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それから1970年代後半に『BRUTUS』でスイスのメーカーの取材をしてね。スイスの人間に自社のクォーツを自慢されて、彼らも競争の原理に流されるのは仕方ないけれど、これは熟練した技術が危機的だなと、かなり驚いたし悲しい気持ちになった。 |
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今後忘れ去られてしまうかもしれない機械式時計、人間の技術の英知がこれだけの機械を作ってきた、ということを改めて知って欲しいと思って、古い腕時計の特集企画を立てた。その特集がキッカケで、古い時計に興味を持ったなんていう(時計業界の人も)多いみたい。 |
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しばらくして1980年代はスイスがクォーツでイニシアチブをとろうとして、安価でかつデザインの優れたスウォッチを作って、クォーツ全盛の時代になった。好況だった日本では、ロレックスのバブルバックをはじめとする、ヴィンテージ時計のブームが到来したのもこの頃。もう素晴らしい機械式が作られなくなるかもということも考えられたからね。 |