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  TRUE STORY OF WATCH.  
Antiquorum Kenichi Goto Takeshi  Matsuyama Tomoyuki Tanka
 
「機械式の人気が復活した一方で、“売るため”だけの時計も増えてきた」 松山 猛
 
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Collection
 
 
ジラール・ペルゴ/ww.tc フランソワ・ペルゴ
 
日本にスイス時計を伝道し、生涯を横浜で過ごしたフランソワ・ペルゴ。その功績に敬意を評し、「YOKOHAMA」を表記したワールドタイマー。この時計が企画されたキッカケを松山氏が作った。自動巻き。ステンレススチールケース。
 
 
 
F.P.ジュルヌ/オクタ・ニュイ
 
このモデルは99本の限定。57歳の記念にシリアルNo.57を手に入れたもの。
自動巻き。プラチナケース。
 
 
機械式人気が復活した一方で、“売るため”の時計も増えてきた。
 
1980年代中頃が、機械式時計のターニングポイント。復活の兆しを見せはじめたんだ。現・ウブロCEOのジャン・クロード・ビバー氏がブランパン(2005年に270周年を迎えた老舗)で機械式のコンプリケーションの復興に着手したり、フランク・ミュラーをはじめとする時計師たちによる斬新な機械式時計が登場しはじめた。
 
こうして今やこれだけの機械式時計の人気となって、またいろいろと新しいものが作られていくのはうれしいことだよね。ただ一方で、付加価値をつけて“売るため”の時計も増えてきている、というのもある。
 
例えば、かつてトゥールビヨンは数人の時計師しか作れなかったのが、猫も杓子もトゥールビヨンで、いまや100ブランド以上が手がけている。それから最近は過剰なデザインの時計が多くなってきた。そういう時計が好きな人もいるのもわかるけど、自分が年をとって保守的になったからかもしれないけれど(笑)、俺はそういう時計は買わねぇぞ、と思うよね。
 
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実際、時計産業というのは基本的に分業(専業メーカーが各パーツを作り、それを組み上げていた)が当たり前、という不文律があった。にもかかわらず、今や大きな時計グループに多くのムーブメントが供給される状況で、公平にムーブメントが行き渡らないから、自社で開発するところが増えてきた傾向にあるね。
 
そんななか注目しているのは、フランソワ-ポール・ジュルヌやパルミジャーニ・フルリエといった時計師たちによる“英知の極み”というような時計。F.P.ジュルヌは時計に対する情熱もあるし、時計の世界を見続けてきて、自分の世界観を築き上げている。それからパルミジャーニは、製造ノウハウだとか、設備だとかを充実させて、風防(ガラス)以外はすべて自社一貫生産する体制になってきた。
 
バーゼルとジュネーブの取材をしていて思うのは、ここのところ高い時計が多くて、買いやすいものが少なくなってきたということ。中身(機械)は関係なく、「人が持ってなくて、高くていいものは何でもよこせ」みたいなのも増えてきて。よく「モテる時計を教えてくれ」とか聞かれるけど、そういうものはただ目立ったり、面白いだけのものでしょ。しかも「時計がモテているだけで、お前がモテてるわけじゃないよ」と言いたいね(笑)。
 
 
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