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THINK PIECE

A.N.T.I.

NITRAIDによる待望の新作『A.N.T.I.』

11 9/30 UP

photo:Kentaro Matsumoto text:honeyee.com

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スケートボード、ピスト、BMX、ストリートボーラー。日本にはそれぞれ人口も多いし、レベルも決して低いわけじゃない。それなのになかなか光を浴びないというか、アウトサイダー的な存在であり続けてしまっていると思うんです。それは、こういったある程度メジャー感のある形でプロモーションをする機会も少ないからだと思うのですが。
「やっぱり環境的にまだまだやりづらいというのがありますよね、日本は。どちらかというと煙たがられる存在だし。だからこそこれがきっかけになるということはたくさんあると思う。今までそういったスポーツをやったことがない人もこれがきっかけになればいいと思うし、眠っていた板やチャリを引っ張り出しても良い。まずは単純にそういうことでも良いと思うんです。そしてそこからまた大きなムーブメントが起こるかもしれない」
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今回4つのカテゴリーに拡大してみて、また今後のさらなる広がりが見えた部分等もあったのでしょうか。今後の展望というか、もっとなにかができる手応えみたいな。
「そうですね、もちろんやり方っていうのはもっといっぱいあると思うんですが、逆に言うとDVDを作って売るのは今回が最後なのかなっていう気もしています」

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というと?
「やっぱりフルHDでとった映像をわざわざ劣化させてDVDに落としているって言う矛盾を感じているんで。WEBなりデータなりでやればもっとクオリティの高いままみせられるわけだし。DVDもこれからメディアとしてどうなっていくのかっていうところもあるし。ブルーレイが普及しているならブルーレイで出すというのもありですし。とにかくもっとハイクオリティなままで出したいという気持ちはありますよね」
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つまりメディアが変わるということですか?
「そうですね。CDもそうですが、メディアの形というのはまだ迷走しているところだと思うんです。物って言うのが存在しないわけじゃないかもしれないけど、クラウド化的な流れを汲めば、いろんなものが売買的なものにはならないんじゃないかなってちょっと思うところもあるし。まあ、とりあえずは、きれいにとった映像を劣化させてうるっていう行為自体に単純にクエスチョンがあるという感じです。もしかしたらそんなこと言っておいてまたDVD作るかもしれないけどね(笑)」
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それこそもっとでかいプロジェクトという考えもあるんですか? 例えば映画館でやるとか。
「それぐらいまでやれたら本当にいいですけどね。ただ、制作費も時間もかかることですからそれはなんとも」
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ちなみの今回はどれくらいの時間をかけて?
「1年半くらいかな。とにかく一番時間がかかるのがスケートボード。時間、場所、天候。いろいろな条件が上手く合わないとできない。それと決めたいメイクがなかなか決まらないとかね。“取れ高”次第では居残り君もいたり。まだ納得いかねーみたいな感じで(笑)。でもそういうぎりぎりのところが一番おもしろかったりするんですけどね」

 

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今後ですが、ほかにも入れたい種目はあったりするのでしょうか。
「どうですかね。ある程度成熟しているシーンは僕らがどうのこうのやる話ではないと思っているんで。もともとあったものを崩すことはしちゃいけないと思っているし。それは自然に生まれるリレーションで作っていくことだと思う。なんかわざわざ仕込んでやるのも不自然ですから。今回のフィルムに関してもあくまで自然のリンクで発展していったパッケージですし、わざわざかき集めてやっているもんじゃないっていうのはあるから」
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まさにコミュニティーという感じですね。
「そうだと思います、本当に。<NITRAID>っていう洋服がきっかけで集まってきたかもしれないですけど、それはただ単純に大きな受け皿なだけであって、そこからつながる人もいて、もっと発展をしていく。それが僕はストリートだと思うので」
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ストリートカルチャーをサポートすると言う強い思いが自然と形になっているという感じですね。
「僕としては一生懸命やっている人なら何でもサポートするよっていうのが基本的な考え方。本気でぎりぎりまでやっている人なら僕は多分なんでもできるなって思うんですよね。そしてそういう人たちが集まってきてくれているから、僕らもこういうことができる。そういう意味では自分にとっても幸せな環境なんだと思います」
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DVDを観ると外に向けてパフォーマンスしているというよりは、中でやっている人たちがどれだけ本気かっていうのを外からのぞいているという感じがしますね。
「そうですね。変に演出するというよりも、そういうライブ感みたいなものは意識して作っているところもあります。それと僕が常に『東京』を意識してレペゼンしているのも、それは日本の中の東京であって、その東京をアジアや欧米に伝えていくって言うことが必要だと思っているからなんですよね。今はこれだけインターネットが発達していろんな国の言語も簡単に翻訳できる。だったらここで生まれたものをここから世界に発信すべきだし、東京でこんなことが起きているんだぜっていうのをもっと多くの人に伝えたい。そのためには、映像というメディアはすごく大きなツール。そういう意識が自分にはもともとあるのかなって思います」
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最後にDVDを観る方にメッセージがあれば。
「とにかくこれを観る人にとってなにかのきっかけになればと。それと、前作の『RAIDBACK』、今回の『A.N.T.I.』ともに楽曲はMACKA-CHINフルプロデュースで、トータルで23曲くらい。その音源をオリジナルサウンドトラックとして10月中にリリースしようと思っています。そっちもかなり濃い仕上りなので、ぜひチェックしてほしいですね」