そう、見終わった後、当初の予想に反し、なんて「重い」映画なんだろうと思ったのだ。ジョー・ストラマーの人生を、その幼少期の貴重な8mm映像から始まり、ザ・メスカレロスとして活動する様まで通し、追っていくうちに、その内なる葛藤や苦悩にすら、知らぬ内にシンクロして、体感していたのかもしれない。音楽がらみのドキュメンタリー映画を見て、こんな風に感じたことは、かつてなかった。故に、この映画は、クラッシュ・ファンは勿論のこと、音楽を愛する人、その全てに見て欲しいと、切実に思った。 |
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セックス・ピストルズはおそらく「典型的なパンク・スタイル」をファッションという形で全世界に定着させたといえる。ジャムは「怒れるティーン像」を、そしてクラッシュは――「パンクの精神」を、最も深い形で世に広めた。それは、豪華なメンツのエンターテインメント業界のセレブリティたちが、クラッシュやジョーについて、それぞれの思いを語るその姿や語り口にも、よく表れている。 |
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ミック・ジョーンズやトッパー・ヒードン、パール・ハーバー、ドン・レッツなど、最も近しい立場にあった人たちが語るジョー像には、ファンとしては嬉しい限りのレア事実も含まれていて、とても貴重だ。彼を愛し、コメントを提供している俳優たち――ジョニー・デップ、ジョン・キューザック、マット・ディロン、スティーヴ・ブシェミ等――は、みなその生き様に、ジョーからの影響が見てとれる。マーティン・スコセッシ監督も、これでもかというぐらい熱く語る。そしてボノ(U2)、アンソニー・キーディス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、ボビー・ギレスピー(プライマル・スクリーム)、フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、コートニー・ラヴといったミュージシャンたちは、間違いなく、クラッシュ及びジョー・ストラマーのチルドレンたちだ。また今春、ステューシーにて写真展を開催したNYのフォトグラファー、ジョッシュ・チューズやアーティストのダミアン・ハーストなども、ジョーへの想いを吐露。クラッシュ及びジョー・ストラマーが、いかに多大な影響を、全世界のクリエイティヴな人々に与えたのかを、この映画を通じて知ることもできた。 |
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