THINK PIECE >WELCOME TO KITSUNE MAISON !
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── 初期の『KITSUNE MAISON』からフォローしているものからすると徐々に方向性というかテイストがハッキリしてきたような印象を受けます。KITSUNEというレーベルの輪郭が明確になってきたというか。
 
G: 「一番最初に比べると、収録曲の雰囲気やトラックの傾向は変わってきていると思う。でも、それは自分たちが変わったというより、本当に自分たちが聴きたい音楽を自信を持って収録するようになったということなんだよ」
 
 
── とはいえ、やはりファッショナブルな存在感というか、ある種のハイプ的なイメージが大きくなっている部分もあると思うんですが。
 
G: 「やっぱり、KITSUNEのアクティビティに一番敏感に反応しているのは、世界中の“クール”なヤツらではあるんだ。言い換えれば、音楽であれ、ファッションであれ、常に“新しいもの”を欲しがっている連中だね。もちろん、彼らを満足させることも重要だけれど、一方ではもっとシリアスに音楽を聴いている連中、音楽マニアのような連中からも信頼されるアーティストを紹介する役目も今の僕らは背負っていると思う。だから、『こいつはクール? クールならサインかな』みたいなナイーブな発想ではないんだよ」
 
MASAYA(以下:M)
M: 「そう。KITSUNEのフォロワーにはスノッブな連中もたくさんいるわけで、そいつらに蹴りいれるというか、驚かせるようなことを続けなけりゃいけない。けれど、その一方で本当のシンプルな音楽ファンからの信頼も得なければいけない」
 
 
 
── そうしたKITSUNEの“硬派”な部分とは裏腹に、このムーブメントに乗っかろうとろするKITSUNEのフォロワーも出てきてますよね。
 
G: 「自分たちが追いかけられているとは感じるし、当然、自分たちよりクールなヤツらも出てくるだろうとは思うよ。まあ、良いコンペティターというか、僕らがもっと先へ行くことのモチベーションと考えてはいるんだけどね……。ただ、分かりやすいハナシをするとね、ヨーロッパではメジャーレーベルからKITSUNEのようなコンピレーションがリリースされていて、まあ、制作にあたっては、当然、お金も僕らよりかけているわけ。で、出来上がったものを聴くと、なんかイマイチなんだよね。コンテンツが薄いというかね。ラインナップだけ見ると『クソ、パクりやがって』って思うんだけど(笑)、聴くとなんか薄い。やっぱりアーティストの側もKITSUNEのコンピレーションの持つ意味合いがわかっていて、僕らに渡す曲とメジャーにビジネスとして渡す曲とはクオリティが違うんだと思う」
 
M: 「逆に僕らはアーティストのネームバリューに左右されないようにしている。どんなアーティストの曲かが重要なんではなくて『何、この曲? 誰?』って僕らが思うようなトラックをコンパイルするようにしている。こんな風に自然と僕ら自身にもルールが出来上がっているんです」
 
 
── 自分たちが聴きたい音楽を集める、というKITSUNEのコンセプトは結果として、シーンにおけるひとつのスタンダードを作ったと思うんです。今回リリースされる『MAISON 5』もKITSUNEらしいクオリティの高さを持った次のシーンのスタンダードを予見させる内容だと思います。
 
G: 「それは嬉しい反応である反面、僕らの危機感の源でもある(笑)。“今”のこの盛り上がりというのは素晴らしいことではあるんだけれど、僕らはロングスパンで活動を続けていきたいんだよ。それはクリエーションはもちろん、ビジネスについてもね。だから、この手の話になると『現在のスタンダードになってしまったということは、明日はもうアウトなのか?』みたいな自問自答が常に始まるんだよ(笑)」
 
M: 「そう。ある種のスタンダードと捉えられたら、次に向けてレベルアップしないといけないから。そうしないとスタンダードを作ったこと、それ自体がリスクに変わるだけだから。音楽レーベルとしての次のステップということで言うなら、自分たちがアーティストを育てていくっていうことをやっていきたい。そのひとつがCAZALSというバンドのアルバムをリリースすることになるんですけどね」
 
 

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