THINK PIECE > JUSTICE
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──「2台のコンピューターとキーボードですべて操作できる」というにわりにはずいぶんと大げさな仕掛けですよね。両脇にマーシャルのアンプが9台ずつ並んでましたし…。
 
本当のところ、何も飾りのない机にコンピューターを2台並べただけでも、“ライヴ”は出来るわけだけど、僕らのような男二人が、何でもない照明の下でコンピューターをいじってるんじゃ、あまりにつまらないでしょ? どちらかというと、そのステージの演出の面でヘヴィ・メタル的な要素を加えたかったんだ。大げさで劇的な…。あの巨大なアンプはそんな意味でもある。
 
 
── アルバムを制作していた最中は、すでに二人はDJとしてビッグだったから、DJとして、アメリカやヨーロッパ、日本やオーストラリアといろんな国をまわってましたよね。その時期はちょうどロンドンやオーストラリアでは新しいシーンが急速に成長していて、すごく刺激的な時期だったと思うんです。ただ彼らと接しながらも、それらのシーンや音楽がジャスティス自身の世界観や音楽に大きな影響を与えていないのではと感じたんです…。完璧なジャスティスの世界観をキープしていて、これは二人が外界から影響を受けないよう、強く意図していた結果でしょうか?
 
アルバムを作ってる間は、僕ら二人、窓もなく、光も空気も入らないようなパリの地下室にこもっていたからね。その間はほとんど新しい音楽を聴くことはなかったんだ。むしろ昔から聴いていた映画のサウンドトラックや90年代までのポップ・ミュージックからの影響の方が強いかもしれない。僕らは部屋に戻ってもいわゆるエレクトロ・ミュージックはほとんど聴かないで、50年代から90年代までのポップスを聴くことが多かったし。だからいわゆる“シーン”の音とは違ったものを作ることができたのかもしれない。
 
 
── とはいえ、「DJとして」はたくさん新しい音楽を聴いたし、プレイしていたのでは??
 
うーん、確かにDJとしてはね。でもDJとしてミックスすることと、アルバムを制作するというのはまったく違うプロセスを踏んでいるものだった。DJというのは何と言うか「エネルギー」を操るもので、「フィジカル」でときには「数学的」とでもいうような法則に則って行うんだ。これに対してアルバムの制作で僕らが目を向けたのはもっと「エモーショナル」な部分や斬新な手法、というものだったと思うんだ。
それから、DJの時に、面白いのは、僕らのプレイするのは誰もが知ってるとても古いポップ・ミュージックやディスコ・クラシックと、誰も聴いたことのない出来たばかりの新しいエレクトロ・ミュージック──それはソウルワックスら、友達のDJとトレードするもので、最新のトラックを手に入れる最良の方法───のどちらかなんだよ。
 
── ペドロも言っていたのですが、確かにジャスティスは「第二のダフト・パンク」である必要はないというのには賛成なのですが、どうしてもこれまでの流れから、ジャスティスこそ、ポスト・ダフト・パンク世代を担うニュー・スターであることは事実だと思うのです。すべてのメディアが比較して語るであろう、この大きすぎる先輩の存在はどのように感じていますか?
 
うーん。分からないな~。僕らはまだデビューしたばかりだし、こればかりは、未来だけが答えを語ってくれるだろうね。そう言われることはとても光栄に思うよ。ただ僕らに言えるのは、ペドロ・ウィンター、彼はクレイジ-だ! フランスの2つのエレクトリックの革命を体験してるわけだからね。まず最初の革命はメジャーでメインストリームと呼べるレベルまで達したわけだし、そのあと自分のレーベル(エド・バンガー)に関して言えばゼロからスタートしたにもかかわらず、今では日に日に大きく成長するのを感じているよ。新しい才能を見いだして、サポートするという才能に長けたプロデューサーで、彼と出会えたことに感謝しているよ。
 
 
── では、最後に、なぜ「†」なんでしょうか?
 
これについては僕らは説明しないよ。みんなの想像にまかせる。ある人は「カトリック」の宗教的な意味をつけるだろうし、ある人は単純にマーケティング・ツールと見なすかもしれない。物事は真実よりも神秘の方が面白いものだからね。それは僕らがこのアルバムにいわゆるタイトルをつけなかった理由でもある。音楽の周りを取り巻くヴィジュアルやコンセプチュアルな世界観に、聞く人の想像できる余地を残しておきたかったんだ。
そして…「神のみぞ知る」…。
 
 

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