THINK PIECE > 依布サラサ × 倉石一樹
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ミュージシャンの存在意義が変わった?
 
──倉石さんって相当早い時期から依布さんのこと知ってましたよね?
 
K: 「レコード会社の知人からサンプルでしたけど、『カリキュラム』を聴かせてもらったのが最初ですね。スゴく印象的で、どんな人なんだろう? って」
 
I: 「ありがとうございます」
 
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──そのデビューシングルとなる『カリキュラム』が12月5日に発売されました。あの人気アニメ『もやしもん』のオープニング曲といえば、わかる人も多いと思います。そこで、ここからはちょっとデビューまでのいきさつなんかを聞きたいなと。たぶん、倉石さんもご存知かと思いますが、依布さんのお父さんは井上陽水さんです。
 
K: 「もちろん、知ってます。依布さんは12月に歌手としてデビューしますが、昨年ぐらいから作詞家として活動されていますよね?」
 
I: 「はい。作詞家のきっかけは、父のシングル『長い猫』です。でも、その後も作詞活動を続けていたんですけれど、詞をどんどん書いていくにつれて、色んな人に書いた詞を見せたりするじゃないですか。でも、そういう時ってほとんどが私の知り合いなんですよ。知り合いってことはやっぱり素性がわかっていたり、井上陽水の娘さんだってことになる状態が多くて……。それで、作品を見せ終わって『この詞、いいですね~』とか言われるのが、すごい信じられなくて……。『本当にそんなこと思ってるのかな、この人』っていう猜疑心が強くなってきてしまったんです」
 
 
K: 「そういう気持ちって、よくわかる気がする。本当に作品が良いって言ってるのか、お世辞なのかが見えないんですよね」
 
I: 「だから当時は、自分がすごく人を疑う心の塊だったんですよ」」
 
──それは何歳ぐらいの頃ですか?
 
I: 「って言っても、最近ですよ。20歳とか21歳の頃だから、3年ぐらい前。それで、そういう状態の時にパソコンを開いたら、レコード会社の作詞家・作曲家・アーティスト募集! という欄を見つけて。『あっ、作詞家だけでも応募できるんだぁ』って思い、そういう沢山の人が応募する中に私の作品を紛れ込ませて、引っかかってくれたら自信が持てるかもしれないって思い、応募してみたんですよ」
 
──なるほど。そうしたらレコード会社の方から連絡があったと。
 
I: 「そうです。でも、それから2~3回ほど面接したら、やっぱり素性もわかってきちゃって。それはもうしょうがないな、と思いました。私が井上陽水の娘ということは事実ですから。でも、最初に何も知られていない状態で、作品が引っかかってくれたっていうのがすごく嬉しかった。それからですね。“私の作品はこうです”って自信を持って詞を書けるようになったのは」
 
──昨年3月に発表された井上陽水さんのシングル『長い猫』の詞を依布さんが書かれています。ということは、今は普通にお父さんと一緒にやるということについては、わだかまりというかコンプレックスとかはないのでしょうか?
 
I: 「いやいや、気にしていました。ギリギリまで!」
 
K: 「ギリギリ(笑)」
 
I: 「ええ、ギリギリまで気にしてました。歌手デビューが決まる直前まで!  実は『長い猫』って、父と一緒にクルマの中で突発的に作ったものなんです。だから、最初は世に出るとは全然思っていなかったですし。結果として、この経験が、今私がここにいる原点になったんだと思います。だから、今は“井上陽水の娘”って言われても、あんまり気にしないようになりました」
 
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