THINK PIECE > 福富幸宏×近田春夫
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───4つ打ちやリミックスなどの概念の流入で、日本の音楽シーンは変わってきたと思いますか?
 
F: 「いい方向だと思います。クラブの草の根は広がったと思うし、触れている人も多いと思いますね」
 
 
C: 「オレはまだ否定的な部分もある。昔より良くはなってきているけど、まだまだだよね。ミュージシャンがダメ。ダンスミュージックをすごく浅いところでしか見てない。やはり音楽は世界中に伝わるモノを作るべきだと思ってるのね。でも日本のミュージシャンってさ、日本人以外には面白くねえだろ、ってのばかりだと思うのよ。ドメスティックのマーケットしか見てないミュージシャンが、昔よりむしろ増えていると思う。それに対してDJは裾野も広がって、面白いモノを作ってる人もいるし、世界中を飛び回っている人もいる。若い子の作ったトラックとか聴いてると、これからますます面白い人が出てくるだろうっていう気配を感じるし。昔は自分のセンスを形にするのに、いろんなめんどくさいハードルがあったけど、今はセンスさえよければ、ノートブック1台で作って、すぐ発表できる。世界中に聞かせられる。DJは国際的だけど、ミュージシャンはドメスティック。ま、オレに言わせれば、日本のミュージシャンは全員フォークシンガーだよね(笑)」
 
 
───そういう意味では、日本人が作るダンスミュージックが確立されてきていると思いますか?
 
C: 「インストって、同じになるハズだと思うんだけど、でもやっぱり違うんだよね。例えば、アメリカのハウスとイギリスのハウスって、違ったりするじゃない? 」
 
F: 「やはり、日本ならではの何かがあって、それが海外の人に喜ばれたりしますね。4つ打ちもお国柄っていうのがあって、例えば、オレとKYOTO JAZZ MASSIVEとCalmをドイツ人が聴いたら、「ジャパニーズサウンドじゃんって」ってなるわけですよ。こっちからみても、アメリカとUKとドイツはみんな違う。でもそれぞれ、いいですよね。日本の作品もそういう中で、「これはジャパニーズサウンドでいいね」って、言われるようになっていきたい」
 
 
C: 「4つ打ちっていうシンプルなひとつのフォームに、いろんな人がいろんな文化を乗せて、いろんなことをしていったら、もっと面白くなると思う。和物のリミックスも、もっともっと自由に、ヘンテコリンな面白い人が出てきたら、面白いと思う。海外を追いかけてたら、向こうが逃げていくから、一生追いつかない。だからどっしりとココにいて、みんなが聞きたくなるような音楽を作った方が、いずれ絶対面白くなりますよ」
 
F: 「そう。並列に並んでいる輸出仕様でいいと思いますけどね。僕らはアメ車がかっこいいと思うけど、向こうからしたら、日本車がいいと。ドイツ人がベンツよりシビックがいいという場合だってある。そういう意味では、良さはそれぞれだから、質さえ保っていれば、違うものでもいいんですよ」
 
 

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