THINK PIECE > PETER KENNARD
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ピーター ケナードはアカデミックな技術、理論とともに、コンセプトにもしっかりとした基軸のある作家。現在は出身校であるロイヤルカレッジオブアートで写真科の講師も務めている。

彼は若い頃、ゴヤに影響を受け絵画に取り組んでいた芸術家であったが、ある時ペインティングの直接性の不足を感じ、イメージの背後にある隠された真実を表現するために、フォトモンタージュの技法を選択したのだという。
そして戦争と貧困の2大テーマを表面化させることで創作の基盤を確立していった。ケナード自身も自らの作品についてこう述べている。

「私の作品のポイントは、最終的にそれらを受け入れ難くするために、あえて認知しやすいアイコン的なイメージを使用していることです。パワフルなミサイルのイメージを壊すことによって古い現実が粉々になり、割れ目や断片から新たな可能性が出現するのを見せるということでもあります」。

つまりはアカデミックな絵画と同じように、具体的な形象を用いて、抽象的な観念を伝える表現法を駆使しているため、作品にはおのずと強さや深みが与えられているのである。

さらに鶴田氏いわく、

「ピーター ケナードとバンクシーは共通点も多く、そのひとつが、イギリス人ならではの遊びがあることですね。ゼロからアイディアを練るというよりも、既にあるモチーフ同士を組み合わせて、全く別のものにしていく感覚を持ち合わせている。
これは遊びの中だからこそ生まれる感性であって、そこには必然的にゴリゴリとした手触りというか荒々しさが備わっているように感じとれます。これらは僕がイギリスの文化や物作りに惹かれる理由と通じるものがありますね。
もうひとつ重要なことを挙げると、実は2人とも漠然と反戦を掲げているわけではないということなんです。
現実問題として、戦争で平和が守られている部分も少なからずあるという認識を持っていて、その中で自ら参加できる活動として反核運動などが該当するのでしょう。問題が大きすぎることもあって、明確な答えは永遠に出ないわけですが、それに向き合うことで結果的に彼らのアートも発展を続けていくのだと思います」。

Kenichiro Tsuruta
1963年生まれ。熊本県出身。スタイル代表。
これまで多くのブランドを発掘してきた敏腕ディストリビューター兼バイヤー。
ファッションだけでなく、その背景にある様々なカルチャーにも精通する。
event@dupestyle.com

[写真1] ジャケット10,290円[税込] Tシャツ7,140円[税込]
*こちらのアイテムはhnyee.Storeにて販売中。

[写真2] 絶版のため入手困難であるが作品集もある。
今後は個展のカタログも発売予定とのこと。

[写真3] 鶴田研一郎氏

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