その名前だけは目や耳にしたことがあるが、実体はいまいち不明。そんなものが世の中に溢れている。だから、怪しげなハイプには見えない聞こえない振りをするのはごく当然であり、実に賢明だ。けれど、実体はなかなか伝わってこないが確実にネクストを予見させるムーブメント、あるいはクリエイターも当然、存在する。ここに紹介するKITSUNEこそ、次世代のクリエイティブのあり方を着実に実践するものだと、私は確信する。
音楽とファッション、このハイプに染まりやすい2つのジャンルで、じっくりと“自分たちのスタイル”を確立してきた彼らは、自分たちのクリエーションに対して実に真摯である。もちろん、それはビジネスに対しても。
KITSUNE : http://www.kitsune.fr/ |
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「KITSUNEというと大体、『パリのクリエイター集団』とかって書かれて、それで紹介がすべて、というのが多いんですよね。そんな情報だけだと、いい加減な連中だと思われてるかもしれないなと自分でも思いますよ(笑)。たしかに僕らはグラフィックデザイン、音楽、建築といったバックボーンを持った人間の集合なわけだけれど、本業の傍らKITSUNEをやっているというのとは、ちょっと違います。KITSUNEというものに、僕らすごく真面目だし、それにすごくハングリー(笑)」(MASAYA)
と、彼ら自身も感じているようにKITSUNEは、まだまだ誤解されている。彼らのファンを自称する人でも、その音楽とファッションの両方をフォローする人は少ないだろうし、ましてやエッジィなダンスミュージックとベーシックなカジュアルファッションがどう結びつくのか理解している人などごく少数なのかもしれない。
けれど、GILDASとMASAYAが語るKITSUNEの本当の姿を知れば、このスタイルが必然であって、音楽もファッションも決して『アーティストのお遊び』などではないことがわかる。 |
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