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THINK PIECE

中田英寿 × 尾花大輔

AXEが設立したオリジナルファッションレーベル「AXE BLACK LABEL」。

16 4/6 UP

photo: Kentaro Matsumoto
text: yk

N
「パターンや生地から一緒に見ながら選んでいたのですが、早かったですよね」
O
「好きなものがはっきりしているからね。『何がいいかな、俺』っていう人じゃないので。ヒデくんが『僕はこれが着たいかも』というので、『じゃあこれ、このテーマで』というような流れで。今回のようなアパレルブランド立ち上げに向けての共同作業は初めてやったけれど、これだけスマートでスピーディに仕事ができるクリエイターの人は初めてですね」
N
「尾花さんの方から生地も豊富に用意してくれたので、選びやすかったです。素材とかも、普段はこんなに生地用意してないだろ、というくらい用意してくれて(笑)」
O
「おっしゃる通りです(笑)」
N
「パターンはもともと豊富にある中で、『これと、これとこれで半袖、長袖はこういう感じが合うんじゃないかな』といったやりとりで、本当に早く進みましたよね。いい加減に決めているのではなく、もともと僕の好きなものと、尾花さんのモノ作りの方向性が似ているのだと思います」
──
尾花さん自身も、AXE BLACK LABELのアイテムを着せる相手としては中田さんをイメージして作られたのでしょうか?
O
「ヒデくんが着て似合うというのは大前提ですね。ただ自分のブランドだったらN.HOOLYWOODのファンの感性がわかるので自分のエゴを出していくのですが、AXE BLACK LABELは不特定多数の人に届くものなのでサイズ感に関しては少し悩みました。とはいえ、結局N.HOOLYWOODの定番のサイズがヒデくんの着用サイズが一緒だと考えて、いわゆるもう少し若い子でスキニーな子たちは確実に着られるコレクションになったと思います」

──
若い方に着てもらうというのは、一つのテーマなのでしょうか?
O
「若い子って、絶対に年上の人の本とか、年がいった人のかっこよさに憧れるでしょう。ということは、結局僕らがかっこよければ、それが二十歳くらいの子たちの憧れになる。そう考えたら自分たちが好きなものを正直に作るということが一番刺さるのかなと。もちろん、若い子たちのカルチャーに沿った服もあるけど、それはまた違うスタイルなので」
N
「僕がオファーをいただいた以上、自分が本当に好きで欲しいものを作らないといけないなと思いました。もちろんマーケットというものはありますけど、そこに合わせるのではなく、まずは自分の好きなものを作って、それが結果的に多数の人に影響を及ぼすということが大事だと思います」
──
大人の男として、お二人が普段から気にされている身だしなみはありますか?

 

N
「やっぱり、年をとってくると昔よりはTPOを考えるようになりましたね。年配の人と会うときや、お茶室に行くとき、伝統芸能をやられている方を訪ねるときにジーンズやラフな格好じゃまずいだろうとか。そういうことは、いろんな過程で学んだりすることですよね。最近、スーツを着ることが増えたのですが、同時に、一つのスタイルにかたまりたくはないという、以前よりもっと冒険したいなみたいな気持ちもすごく強いです」
──
尾花さんはいかがでしょうか。
O
「ヒデくんと違って、僕は黒子よりの立場なんですよ。海外のデザイナーは存在自体がスターでヒデくんたちと同じような感じだけど、僕ら日本人のデザイナーは逆に裏方的な見られ方。ショーの時だって裏でコロコロのテープをつけて、本当にADさんみたいな状態なんです(笑)。でも、外に出たときにはそれ相応の年齢で、自分らしさとは何だろうという点には常に対峙しています。最近多くなったのは、多少ほこりがついてもパッと払えば、例えばその状態でパーティーに出ても『尾花さんだからね』って思われるくらいの、綺麗でカジュアルなもの。そういう服を身だしなみとして、必ずセットで常に8着とかを持ち歩いています」
N
「あと、僕は最近いつもハンカチを持つようにしています。ハンカチって、持っているとちゃんとしていると思われるし、生活していると何かしらこぼれることが絶対にあると思います。女性に対しても、そういう時にサッと(笑)。ハンカチは最近本当によく買いますね」

O
「それ、僕も。でもね、女性でハンカチを持ってない人も結構いるんだよ」
N
「やっぱり女性は、タオルを持つんじゃないですか。でも、タオルは自分のためのもので、ハンカチは人のためのものだと思います。だからいつも僕はハンカチを持って、何かあったら『はい』って差し出します。もちろん自分でも使いますけどね。ハンカチを持っている人って大人だなと考えています」
──
これは気軽にはじめられる男の身だしなみですね。
O
「そうですね、大人の男の身だしなみと考えると、ハンカチは大人だ。ちょっとそれ使って良い?(笑)」
N
「次のシーズン、各種いろんな色のハンカチを出したりしてね(笑)」
──
最後になりますが、AXE BLACK LABELはこの1コレクションのみの企画となるのでしょうか?
N
「基本はそうだけど、どうなるんでしょうね。僕自身、今回やってみてすごく面白かったですし、それこそ次はハンカチでも作りましょうか(笑)」