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THINK PIECE

WE NEED MORE BLACK

照井利幸×西山徹
"WELD"がつなぐ自由な表現

11 1/28 UP

photo:Kentaro Matsumoto text:honeyee.com

──
みなさんの作品はエキシビションが始まる過程の中で見てきたのですか。
T
「見ていないし、あまり見ようと思っていなかったです。Signalsの音も誰も知らなかったし、演奏しているメンバーしか知らなかったです」
──
作り上げてきたものを見せたとき、各メンバーのリアクションはいかがでしたか。
N
「照井さんにしてみると、Signalsの構成が少し変わっていて、メンバーを変えて弾いていくんです。僕がこれまで見ていたSignalsとは全く違うSignalsになっていて、180度違う表現の仕方をしたので、とても驚きましたね。面白かったですね。写真家の富永さんと荒井君の作品も、やっぱり普段のカメラマンとしての写真とは違った作品が出ていました。彼らの心の内を出している作品じゃないかなと、とても温かい気持ちになりました。明石さんにしても普段洋服作りをするデザイナーとしてよりも彼らしさが出ていて良かったと思います。洋服と言うよりむしろ彼らしかったですね。そういうふうに、内側の彼らが見られたのは僕らとしてもすごく面白かったですね」

──
パーソナルな部分が滲み出てくることはすごくいいことだと思います。
T
「個人の創作理由がしっかりありますね」
──
普段の仕事からは見ることのできない創造性を強く感じます。なかなかありそうでない気がします。
N
「終わった後に、これからも続けていきたいねと二人で話していたんです。また何か集めて、アーカイブとして出していきたいなと思いました」
──
このエキシビションで、新生Signalsの初ライブがありましたが、どのような音楽的な変化を求めて始めたのですか。
T
「世の中に勝負するために、アコギからベースに持ち変えたというのは自分の中で自然なことだったんです。それはそういう気持ちが自分の中にあるからというか、アコースティックは自分の内面的なもので、内面の音を繊細に表に少し出すという感じだったんです。だから、ある意味消極的な部分もあり、一人で成り立つものなんです。でも、その静かな音をSignalsでやっていくには、自分がイメージしているものが表現しきれなかったんです。だったら、そのベースに持ち変えようと。皆が展覧会に向けて作品を作ったように、Signalsも1ヶ月前から曲から作り出してあそこまで持っていったんです。その気持ち良さが終わった後にありましたね」
──
特にあのライブは象徴的だったと思います。メンバー同士、インプロビゼーションをしながら互いに影響されている部分がお客さんとの間にも生まれたライブだと思います。
N
「そうですね。そういうところがWELDで照井さんがやりたかったことかもしれません。Signalsとして、それでも照井利幸として」

 

──
若い人たちにも影響したエキシビションだったと思います。そういう実感はやっていてありましたか。
N
「そうなればいいなとは思っていますけどね」
──
濃密なんだけど居心地のいい空間で、普段の皆さんをあまりよく知らない人が来たとしてもやりたいことが自然に伝わっていったと思います。
T
「そうですね。終わってから、女の子二人が初めて知って見に来たんですけどすごくよかったですって言ってくれたんです。そういうことが大事で、もちろん昔から知っている人達も大事なんだけれども、全く知らなくてたまたま来て衝撃を受けるということが増えればいいなと思いますね。そういうのって記憶からなくならないじゃないですか。例えば、知らないところを歩いていてどこかに出て、真っ青な海が一面に広がっている場所を見つけたら、その場所はずっと忘れないですよね。そういう本当に純粋な感動や刺激を作りたいと思います。何の飾りもなくて純度の高い純粋さです」

──
純粋なクリエイションから生まれる感動を受け取る場は意外と少ないんじゃないかなと。そういった意味でもWELDはカルチャーシーンにおいて貴重な存在ではないかと思います。
T
「アーティストの集まりだから、それぞれストイックで自然に緊張感が生まれて、その反対にすごく和む部分もあったりします。それが自然にできるからいいなと思います」
──
今後具体的にやってみたいプロジェクトはありますか。
N
「前回の形式のような展覧会を、間を開けずに続けていけたらいいなと思っています。それで精度が上がっていって、モチベーションも上がると思います。今のところはそれだけですけどね」