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THINK PIECE

[ジージージージー] グルーヴィジョンズ展

"道具"としてのグラフィックデザインの展覧会。

11 8/3 UP

interview:Tetsuya Suzuki, Takeshi Kudo (Rocket Company*/RCKT)

──
今回の「ジージージージー」展はどんな展示になるんですか?
「この展示のために、ベニヤにシルクスクリーンで刷った作品を作りました。何人もが作ったグラフィックを、ひとまとめにした作品です。最初は『ベニヤに白で、シルクスクリーンで刷る』という枠だけを決めて、自由に作ってもらいました。そこから、例えば有機的な線はこの3種類、無機的な線はこの3種類に限定しよう、とか少しずつ全体をひとつのまとまりに寄せていっています。けれども、一ヶ月半くらいやってますが、なかなかまとまらない(笑)」
──
ベニヤの集合体が作品になっていますが、個々の一枚を作る各デザイナーには、何かテーマを与えているんですか?
「いや、作品に具体的な意味があるわけではないです。いかに"純"グラフィックではなくするかということくらいで。"純"グラフィックデザインではないように表現するというのが、GGGというたくさんの"純"グラフィックデザインの展示を行ってきた会場でやる意味でしょうか」
──
作品そのものではなくて、見るべきは展示のあり方ということでしょうか?
「ここ数年、床に作品を並べる展示をずっとやっているんです。それはグラフィックデザインを展示物としてものに落としていくと、すごく弱くなってしまうと感じていたから。例えば、街のビルボートとしてあった方がよほど強くて、そこが切り離されると途端に弱くなる。だからその弱さから逃れるためには、ものに還元してあげることが大事で、一番手っとり早くて場所を選ばずできるのが、床に並べること。というのが僕たちの持論です」

 

──
コンテクストを切り離してしまうと、グラフィックデザインの不完全さが出てしまうから、鑑賞ではなくて体験に近づけていくということですね。
「最近思うのは、グラフィックの領域では、昔ほどクリエイティブに大きな役割が与えられる時代は終わったのではないかということ。これだけ細かい情報が大量に流れていると、クリエイティブは邪魔になってしまうんですよね。全体をパッケージングしてトータルな世界観を作る、というのが昔のグラフィックデザイナーの売りだったとすると、その化けの皮がはがれたというか……。今は僕らもまとめはするけど、加減に悩みながらまとめ切らないようにやっています」
──
つまり、クリエイターとしてのエゴを優先するより、世の中や時代と向かい合うことを優先する、ということですか?
「今、見ているところはそこかもしれないですね」

 

ギンザ・グラフィック・ギャラリー第301回企画展
[ジージージージー]グルーヴィジョンズ展

2011年8月4日(木) 〜8月27日(土)
11:00〜19:00
*土曜日は11:00〜18:00
*日曜日休館
*オープニングパーティー: 8月4日(木)17:30〜19:00

会場: ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
入場無料

ギャラリートーク
2011年8月19日(金) 18:30〜20:00
会場: DNP銀座ビル3F
東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル
先着70名、要予約
予約はggg ホームページにて受付けます。
予約開始日: 8月4日(木曜日)11:00〜

出演
岡本 仁(ランドスケーププロダクツ所属の編集者/ライター)
河尻 亨一(元『広告批評』編集長/銀河ライター主宰/
HAKUHODO DESIGN・キュレーター/東北芸術工科大客員教授)
伊藤 弘(グルーヴィジョンズ代表/アートディレクター)