── カバーが3曲収録されていますが、この辺りもそうした精神の自由からくるものなのでしょうね。ところで、この3曲を選んだのはなぜでしょうか? |
|
S: |
「カバーだけのアルバムを作ってもいいかな、とも思っていたんです。演奏とアレンジに集中するアルバムでもいいんじゃないか、というのもあったくらいで。結果的にカバーは3曲になった感じですが。まず、プライマル・スクリームの『Higher Than The Sun』は瀧見(憲司/クルーエル代表・A&R)さんの選曲です。何曲か候補を挙げてもらったなかから、プライマル・スクリームだとは知らずに選ばせてもらいました(笑)」 |
|
── 見事にサイコさんらしいピアノ曲になっていますよね。 |
|
S: |
「最初はこれがピアノ曲になるのかなとも思っていたんですけれど、やってみたらまるで自分のものだったみたいな。エルビス・コステロもカバーしている『She』(オリジナルはシャルル・アズナブール)はすごく有名な曲だと思うんですけれども、実は私、知らなかったんですよ。仕事でこの曲を聴く機会があって、それで初めて聴いて。そのあと、ちょっとしたライブをやっていた時にソロをやってくれといわれて、たまたまこの曲を弾いたんですよ。そうしたら、その時のお客さんにーレイブとかに行きそうな人ばっかりだったんですけれどもー『この曲は何ですか?』ということをすごく聞かれたんですよ。『涙が出ました』ということをいってくれる人もいて。それで『これはいける』みたいな感じがして(笑)。そういうこともあってカバー曲のメインになったんです。男性ボーカルのもののカバーだけでやりたいというのもあって、それであと一曲、ポリスの『Every Breath You Take』にしたんですけれど。 |
|
|
|
──男性ボーカルのものにしたいというのは理由があったんですか。 |
|
S: |
「アルバムの流れをひとつのトーンにしたかったので、男性ボーカルの淡々とした雰囲気のものをあえて選びました」 |
|
|
──ピアノだけで自分の世界を表現するというのは、色んな人とコラボレーションしたり、色んな人の手が入るレコーディングよりも充実するものですか。 |
|
S: |
「そうですね。すごく聴きやすいアルバムになっているかもしれないですけれど、やっている時には今まで以上にストイックな感じがあって……。今まではミュージアム・オブ・プレートにゲストをお呼びする、といった感じだったので、制作に関する取り仕切りもするわけじゃないですか。なので、自分の演奏に集中したり、自分のやることに集中するというよりも、全体の雰囲気のチェックとか、演奏してもらうミュージシャンに気持ちよくプレイしてもらえるような雰囲気作りだったりに気を使う部分もあったんですけれど、今回は自分の気持ちに集中できたので、そこが、今までとは違いましたね」
--今後、ピアノだけでライブというのはどうなんですか。
「ピアノ&トークみたいなことをやりたいです(笑)。トークは食に関するものがいいのかな。あと、小学校を回りたい。よくクラシックの方がやっていたりするんですけれど、田舎の小学校を回ったり。それで食に関する話をしながら、ピアノを弾くようなことがやりたいと思って」 |
|
|