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───今回リリースしたアルバムには斬新な試みがあると聞いたのですが、どのようなことを行っているのですか? |
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渋谷慶一郎 (以下:S) |
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簡単に言うと、今までの音楽が二次元だとすれば、僕が作ったのは三次元の音楽。例えば、今までは音が右から左に流れていくという表現だったけど、これは音を縦に動かすことが可能になったというか。ジャーってこぼしたコップの水がまたコップに戻っていくみたいなことを表現できる。それって実は今までの音楽とは本質的に違っていて、横の広がりを使って複雑に作られた音楽でも、縦にしてみたらすごくシンプルに聴こえたりする。根本的に次元が1つ違うから、作り方もかなり変わってくるんですよ。 |
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野村訓市 (以下:N) |
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渋谷の作る音楽って単にメロディーを聴かせるものじゃないから、ノイズミュージックに分類されたりしない? |
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S: |
それはあるね。でも、逆に言えば、世の中全体のすべての音の中で考えたら、ドレミの音楽なんて本当は1%以下なわけ。みんな、そのごくわずかな部分を音楽って呼んでいるけれど、僕はそのドレミ以外の音を使って、かなりナチュラルに音楽を作っているという意識。だからノイズミュージックを作ってるっていう気持ちはまったくないんだけどね。 |
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N: |
今流通してる音楽って、どういうシチュエーションで聴くべきなのか想像しやすいものが多いと思うのね。例えばドライブ中に聴く音楽とか、踊るための音楽とか、そういう意味で言うと自分の音楽ってどういうものだと思う?
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S: |
僕はドラッグみたいに“摂取”する音楽っていうのがあってもいいと思っていて、多分これはそう。何かをやりながら聴くというよりは、ヘッドフォンじゃないと聴けないから、部屋で聴いて、トリップしてくださいって感じかな。例えば、本を読んだあと2週間くらい、そのことだけで頭がいっぱいになっちゃうものってあるじゃない? 僕はそういうものを作りたいんだ。1週間とか1ヶ月とか、とにかくすごくハマってそればかり聴いてしまう。その後は棚にしまって、ときどき引っ張り出して聴くとかでもいいからさ。 |
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