THINK PIECE > Interview With Kenji Takimi
PHOTO PHOTO
  < PREV  | 1 | 2 | THINK PIECE TOP >
 
── トレンド、ということではDJの持つ存在感がここ数年で様変わりした気がします。よく言われる「クラブがライブハウス化した」という言葉にあるようにクラブに集まる人たちがDJに求めるものが変わったというか。
 
T: 「DJのワナビー・スーパースター化、あるいはDJのエンターテナー化というのは、やっぱりあるでしょう。ここ数年でDJの在り方というのは大きく変わったと思いますよ。悪く言うわけではないけれど、客の“知っている曲”をどんな風にプレイするかがDJのスキルになっている部分もある。実際、それをお客さんも求めているわけだしね。それを良いとか悪いとか言っても始まらない。映画でいえば『パイレーツ・オブ・カリビアン』をヘルツォークやホドロフスキーの作品と比べて批判したところで、そんな批判、意味をなさないでしょう。そういうことですよ。ただ、かつては異質なもの同士が同じフィールドにもっと普通に存在していたような気がします。今は、それが難しい。で、それは、グローバリズムの問題とも関わると思うんですよ、ハナシが突然大きくなるけれど(笑)。やっぱり世界中の都市が同じような雰囲気になっているなかで、世界のどこでも2 many djsのフォロワーなようなスタイルが受けている、というね。オリジナリティーは問われないっていう。それは情報の広まる速度が早くなった、というよりリアルタイムですべてが繋がっている感覚ですね」
 
── DJというのは、いわゆるミュージシャンよりも敏感に現場の空気を察知でき、表現をすばやくスイッチできる分、好むと好まざるを得ず、そうした傾向に拍車がかかるんでしょうね。
 
T: 「こういう時代になってしまったという事実は、事実として認めるしか無いわけで、それがイヤだからって、どんどんアンダーグラウンドな方向に行ってしまうと、広がりが無くなる。でも、やり続けると熱はたまっていくし、それが爆発する時もある。80年代頃まではアンダーグラウンドのシーンで起こったことが、ひとつのサプライズとして表に出ていくという回路があったけれど、今はそれをかなり意識的か、資本を投下してやらないと世の中に伝わらなくなっている。自分としてはそういう事をする役割になるべきかもしれないけれど、それはやらずにいたい、という気持ちもある。見せ方のスキル問題ですね。このアルバムもそうだけれど、広げるために、イージーなキャッチフレーズをつけるのが恥ずかしいというかね。ましてや、他人に説明するために、自分自身をわかりやすく表現するなんてね」
 
 
 
── その気持ちは、とてもよく分かるんですが、まあ普通に考えると不利ですよね(笑)。この『2』も昨今流行りのDJ MIXものとはアプローチが全く違うと思うんです。どうしても最近のものはわかりやすいテーマやジャンルで切ったショーケース的な内容のものが多いのに対し、「音の質感」自体をコンセプトとしているというのは、なかなか説明しづらいですから。「ロック×ダンスです!」といっても良いんだろうけれど、そのあとにコトバをいくつか繋げないといけない。
 
T: 「コンセプトという意味では、MIXCDという在り方自体を僕はかつてのコンセプトアルバムと呼ばれたフォーマット、つまり一枚のアルバムを最初から最後まで聴いて意味を成すもの、と捉えているから。もちろん、ダンスミュージックのMIXCDであることが前提である以上、BPMであるとか繋ぎであるとかいくつかの制約はあるわけだけれど、1枚のアルバムとしての意味や完成度を感じてもらえるものを作ろうというのが、まずあって。結果、世に問うものができたと思う。ダンスミュージック、あるいはクラブミュージックというものに何かしらの関心がある人は、絶対に反応するポイントがあるはず。もちろんDJやロッカーにも。例えば、それこそジャンルもBPMも関係なく緩く繋いで世界観を表現するような方法もあるだろうけれど、あくまでダンスミュージックのMIXCDというフォーマットのなかで表現したかったから。それで、いろんなDJたちのアルバムと比較されてね。そのうえでやりたかったことが伝わると良いですね。まあ、伝わらなくてもいいんだけど(笑)、何か引っかかるところはありますよ。絶対」
 
 
 
 
THE DJ AT THE GATES OF DAWN 2
Kenji Tkimi (エイベックス/発売中)
 
最新のエレクトロ/フレンチ・ハウスから、アンノウンなプログレッシブ/トランス、サイケデリック・ブレイクビーツ、ニュー・バレアリック、DUBSIDEDなバウンシー・テックアシッド、アーリー90’sの知られざるピアノ・バレアリック、ジミヘンばりの70’sレア・ハードサイケデリックが鮮やかなテンポ・チェンジやロング/スイッチ・ミックスでインプレッシブに移り変わるサウンドスケープ。エリック・プライズによるピンク・フロイドのマッシュアップ的リメイクや、コーギスの70's名曲のカヴァー、エロル・アルカンやアンディ・ウェザーオールによるリミックス・トラックまで収録。
UREI1620、TECHNICS SL-1200MK5Gによるライヴレコーディング。

http://www.crue-l.com/kt-200706.html
 
1.CHARLOTTE GAINSBOURG/Night-Time Intermission
2.DJ QUIETSTORM/Hikari
3.DEFENDER/Bliss
4.AXER/123
5.HOXTON WHORES vs BLOX/The Venetian(Dub Mix)
6.HERVE/See Me
7.CULT 45/True To Life(My Digital Enemy Mix)
8.PIG&DAN/Primitive
9.ANNEX/Get Down(Main Mix)
 
10.GUY GERBER/Every Passing Minute
11.AIRSTREAM/Follow Through(Nine O'clock Drop Mix by Andrew Weatherall)
12.A MOUNTAIN OF ONE/Ride
13.LUV MACHINE/Witches Wand
14.BOT'OX/Lada Rock
15.ERIC PRYDZ vs FLOYD/Proper Education
16.KRIS MENACE feat.FRED FALKE/Fairlight
17.POWER FLOWERZ/Everybody's Got To Learn Sometime(Original Mix)
18.DUST GALAXY/Come Here The Trumpets(A Beyond The Wizard's Sleeve Re-Animation)
 

  < PREV  | 1 | 2 | THINK PIECE TOP >
THINK PIECE > Interview With Kenji Takimi

www.honeyee.com

top