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確かにロックとダンスミュージックを融合した第一人者という意味でも、幅広いインプットが必要だったのだと思います。その結果、ディスコ・パンクという大きなムーブメントを生み出してきました。近いスタンスで活動をしているアーティストやDJもたくさんいて、いまの時代だからこそ生み出せた、同時代感を感じます。 |
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J: |
2manyDJ’sやトレバー・ジャクソン、ブラック・ストロボ、ラブンタグなど、同じクエスチョンを与えられて、それぞれの答えを探しているという感じだね。違うジェスチャーや手法でやっているだけという感触なんだ。同じようなところから出発しているので、同時多発的なことがあっても、まったくおかしくないと思うよ。 |
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いろいろなアーティストがいて、いろいろなディスコ・パンクがありますが、そう呼ばれている以上、このシーンにはパンクの精神が込められるべきだと思いますか? |
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J: |
そういう名前で呼ばれているという意味では、あまり満足できるものではないよね。悲しい結果だよ。パンクはスタイルじゃない。パンクは、背景にそれが生まれる理由があって存在したんだから、今の時代にはそもそも成立しないんだ。例えば、もしいまピカソが生きていたとしてもキュビスト(20世紀初頭にパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックが確立した芸術運動=キュビズムの活動をしていた人たち)にはならないだろう。だからどうしてもスタイルになってしまう。ポジションになってしまう。 |
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あるジャンルが流行ったり、注目を浴びたりすると、それをフォーマット化し、“右へ習え”がごとく、追随するカタチがよく見られますよね。 |
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J: |
ディスコ・パンクも、サイケデリックやテクノ、アヴァンギャルドと、いろんなものを取り入れて、一番新しくて何の型にハマらない、もっと大きな存在であって欲しいよね。ただ、カテゴライズされることより、質を高めていくことに集中しているから、ジャンルがどういう風にあてはめられようが、それはレコード屋ではやらなきゃいけないことだから、大して気にしないよ。 |
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確かにLCDサウンドシステムの曲からは、ダンスミュージックのスタンスを借りながらも、内面からにじみ出てくるような、エモーショナルで、ロックのダイナミズムを感じます。 |
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J: |
それ以外やりようがないし、それ以外の方法では作れない(笑)。 |
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ただ快楽を追うような、踊っていい汗かくだけの音楽には興味がないってことですか? |
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J: |
NO! 大好きだよ。ダンスミュージックは食べ物みたいなものだよ。作ったものを食べさせれば、それがみんなのエネルギーになる。だからできるだけ作っていたい。いいシェフは、ただ“おいしい”以上にもっと努力しているよね。 |
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最後に、次作がもうすぐ発売になりますが、どんな内容になりそうですか? |
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J: |
12インチシングルに、リミックスとかアルバムには入れられないような曲を入れていたんだけど、そういう実験的なものも、次のアルバムには入れようと思っているよ。もっと勇気のあるアルバムにしたいね。ボクにとってはチャレンジングなものになるハズだ。
───END |
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