4月26日、香港。visvimの新ショップとなるF.I.L. HONG KONGのオープニングイベントして藤原ヒロシ、猪野秀史、DSKの3人からなるユニットがライブパフォーマンスを披露した。
思い起こせば、藤原ヒロシがライブパフォーマンスとしてギター&ボーカルを本格的に披露したのは昨年夏、原宿のF.I.L.オープニングでのこと。この1年足らずの間で藤原はナチュラルカラミティ、猪野秀史などのライブの現場に「ゲスト」として出演してきたわけだが、今回、ついに「藤原ヒロシ」を中心とした「バンド」としてライブが行なわれたと言えるだろう。
とはいえ、そのバンドも厳密な音楽的コンセプトのもとに猪野、DSKが「HFバンド」のメンバーとして招集されたのではなく、いくつかのセッションを通じて音楽的にも人間的にも「気が合う」という理由で自然に誘われたことは想像に難くない。なぜなら、それ以外の理由で藤原がメンバーを捜す必要など何も無いのだから。 |
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会場となったのは香港市街の中心部にある公園。パーティはサイレントポエツaka下田法晴によるディープ&ムーディなDJでスタート。喧噪と熱気に満ちた香港の夜を下田がメローな選曲でイマジナリーに彩ったところで、ライブに繋がる。 |
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ビートルズ、スタイル・カウンシル、マドンナ、カルチャー・クラブ、そしてボブ・マーレー……。レパートリーもいつしか増えて、この日は8曲をのカバーをプレイ。藤原、DSKのアコースティクギターに猪野のキーボードというシンプルな編成による演奏は、それぞれの音を支え合うように注意深く、そして力強く響きあう。アレンジは余計な装飾を一切省き、その一方で、ことさら繊細さや静寂感を強調するわけでもない。ただひたすらに、ナチュラルで優しい音楽。どのようなジャンルであれ、音楽がありのままの姿では存在できないような、音楽が常に何か過剰なものを内包しなければ存在できないような、そんな気分が蔓延する昨今のミュージックシーンにおいては、彼らの奏でる音楽は逆に異彩を放つものなのかもしれない。 |
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