“ギター1本、弾き語り”といえば、やはり藤原ヒロシらとのライブが彼の音楽スタイルに影響を与えたのだろう。ダンスミュージック的アプローチがポップミュージックのネクストを呼び込むだろうと思われがちな現在、もっともベーシックな表現方法である“ライブ”、それも固定されたバンドでのアレンジではなく限りなく現場のフィーリングでさりげなく行なわれる彼らのライブは実に新鮮であり、音楽の持つ本来の魅力を再認識させるものであった。 |
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「ここ1年で(藤原)ヒロシさんや猪野(秀史)さんと、いろいろな場所でライブセッションをさせてもらったことが、刺激になったというのは確かにあります。1年前に、突然『僕、弾き語りしたいんで手伝って』ってヒロシさんに言われたときは、正直驚いたんです(笑)。でも、一緒に何度かライブをするうちに『こういうヴィジョンもあったのか!』と気付かされました。例えばオーディエンスとのダイレクトなコミュニケーションでいうと、今はどうしてもDJに負けてしまう。ミュージシャンがひとりであそこまで表現するのは難しい。だったら、逆に、自分で歌えばいいんだって。いま改めて自分を等身大に表現していけばいいんだと感じたんです。ポート・オブ・ノーツの時はそうやっていたのに忘れてました」 |
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とはいえ「単にベーシックへ回帰するだけでは、つまらない」とDSKは考える。回帰すると同時にアップデートされていなければ、自分の音楽ではない、とも言う。 |
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「自分でメロディを作って、歌詞を作って、演奏できる、やっぱり、それが一番シンプルだと思うんです。それってスタイルとしては、昔からあるシンガーソングライターのスタイル。でも、楽曲あっての世界だと思うから、曲の良さ、新しさみたいなものは重要で、たとえギター1本で表現してもエッジな部分が伝わるくらいじゃないと。今回は歌ものを入れてバンドで録音して、ベーシックへの回帰という気持ちもありますが、あくまで新しいもの、今のポップミュージックをアップデートさせたものを作りたいと思ってました。そんな意味では、今作はバンドでも、ギターと歌だけでも再現可能なアルバムに仕上がったと思います」 |
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