THINK PIECE > IT is DEAD!?
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高城剛のおよそ10年ぶりとなる新刊『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社新書)は、実にヤバい。巷をにぎわしたITブームの終焉と決して楽観できない日本の未来を明快に語るこの本は、この先10年を見通した“予言の書”でもある。世界中を駆け回り、あらゆるものを目にして、耳にしている高城が感じとった“未来のビジョン”とは、なんだ!?
─── 高城さんの10年ぶりとなる著書『ヤバいぜっ! デジタル日本』では「ITは終わった」ということが「事実」として述べられ、そのうえで新たな日本人、日本という国のあるべき未来が描かれているわけですが、まず、この「ITは終わった」とはどういうことなのでしょうか。
高城: 「2003年の初頭に世界最大の情報・家電ショーであるCESで、ビル・ゲイツが基調講演をし、そこで『これが最後の10年だ』ってヤツが言ったんです。事実、彼は先月『2年くらいでもう辞めます』って引退を表明した。それって要はつまんないからだと思うんですよ(笑)。で、僕もそうなんです。ITというものがピークを越えて、これからは『しょうがないから、残った分野をIT化していくか』って時期に来ているんです。なので、今後ITが脚光を浴びることは2度とない。ITの主な革新はもうないんです。で、それだと、ヤバいって人たちがアメリカにいて、彼らが言い出したのが“web2.0”ってヤツなんですよ。お金が集まらなくなったから『こりゃ、マズい』ってことで新しい概念を作ったってわけ(笑)」
─── web2.0というのも、早い話、webにおけるテクノロジーの革新や新しい技術の発明によって、新たなビジネスが可能になり、さらにお金が稼げるっていう発想だと思うんですが、本当にそうなの? って気がしますね。むしろテクノロジーが進んで便利で効率的になればなるほど、どの分野でも動くお金が少なくなる気がするんです。とくにネットって、進化するほどビジネスとしてのポテンシャルが減るだろうな、というのが実感です。
高城: 「そうですよ。ハニカムやってて、わかるでしょ(笑)。webビジネスの良いところも悪いところもわかってきたんですよ。もう、お金は集まらなくなります。だから、web2.0なんかに騙されないですよ、もう、みんな。だって中身ないんだから。Google礼賛をする人たちもいるけれど、それってアメリカの軍事政権を擁護することになるんですよ。ホントにそれで良いの? だからweb2.0やGoogleを『スゲェ』って言ってるヤツは信じちゃいけません(笑)」
─── テクノロジーや経済ではなく、「文化=スタイル」で次の日本を引っ張れというのが『ヤバいぜっ! デジタル日本』のひとつのテーマだと思うんですが、今の日本の風潮では文化を“コンテンツ”というカタチでお金に換算する以外に価値判断できずにいるのではないかと思います。しかも、そこで言われる“コンテンツ”というのは、高城さんが考える“文化”とは相当ギャップがある。
高城: 「まず、10年以上前に、コンテンツの時代は終わったと僕は言っています。ミリオンセラーのCDなんてなくなるし、それより『彼氏からのメール』のほうが、コンテンツ価値高いから。現在、大体そうなってますね。そして僕らの世代ってポパイで育って、ロンドンのニューウェーブやNYのヒップホップを浴びて、そのなかで僕はマッキントッシュというコンピュータと出会って、やがて音楽・映像とコンピュータが、文化軸として一緒になっていくだろうと思ったわけですよ。それが20年前。でも実際現在は、そうした“文化”とIT的なテクノロジーの世界はバラバラのままですよね。エレキギターがロックを生み、ビデオがMTVを作り、コンピュータはなにを生むのかと思いきや、株価アップの道具に成り下がってしまった。だから僕の立場というのは、もう一度コンピュータを通して、新しい文化を考える、生み出すということですね。けれど、そんな人は見渡す限りほとんどいない状態ですね」
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