THINK PIECE > 村上隆が考える「GEISAI」の本当の可能性。
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村上隆   GEISAI
1962年、東京生まれ。
アーティスト。カイカイキキ代表。
六本木ヒルズのメインキャラクターやルイ・ヴィトンとのコラボレーション、他にもテレビやCMへの出演など、多彩な活動で知られる。その一方で、無名の若手アーティストのためにアートイベント「GEISAI」を主宰するなど、日本のアートシーンを底上げするために力を注ぐ。2007年には、ロサンゼルス現代美術館で大規模な回顧展が予定されている。
http://www.kaikaikiki.co.jp/
  “プロデビューを想定したアーティスト発掘の場”というコンセプトの元、村上隆が主宰するアートイベント。一般応募の参加者が自らの作品を展示即売する、という画期的なこの芸術の祭典は、これまでにも多数のプロアーティストを輩出しており、いまや日本芸術界の登竜門的な役割を果たしている。来る9月17日で10回目を迎える。

GEISAI#10
http://www.geisai.net/
日程:9月17日(日)
会場:東京ビッグサイト東4ホール
時間:10:00~18:00
料金:前売 1200円、当日一般 1500円、小中学生 700円、小学生未満 無料、16時以降入場者 700円

─── 今回で10回目ということで1つの区切りを迎えるGEISAIですが、節目としてはどう捉えていますか?
村上隆 (以下:M)
「若い人たちがサブカルチャーの延長線上で参加できる創造的なイベントが段々なくなってきてしまったので。そうした状況のなか、若い人たちのためのアートコンペという形を補完しておきたい、ということでGEISAIはスタートしました。ただ回数を重ねていくうちに、当初考えていた方向性よりもっと大きい構造を作りたくなってきて、純粋なコンペという方向性から徐々にコンペとアートフェアの中間点のようなイベントに変わっていって狙いが少し曖昧になって来た。ですのでこの10回目でその流れは一旦止めて、今回はアートフェア的な部分とコンペ的な部分の扱いを分離させようと考えています。それと10回やってきた中で生まれたGEISAIのスターたちを今後はもっとプッシュしていって、そういう人達の展示会をもっとやっていこうと考えています」
─── 村上さんは若手の発掘を含めて日本のアートシーンやアートマーケットを自身でプロデュースしていこう、という意識が強いと思うのですが、そこに力を注ぐ理由とは?
M: 「1番の理由は、アートってビッグビジネスになると思っているからです、マジで。そしてその舞台はここ東京なんです。でも1人で叫んでても、みんなは付いてこない。実証例を作らないと認めてもらえないんですよ。海外に出ると東京についてや日本のアートシーンについてなど、色々聞かれるんですが、実際はアートシーンにおいてのインフラは整ってるとは言えない。でもニーズは無限にある。だからその部分を整備していけば、アートは一瞬にして大きなビジネスになると思って動いています」
─── でも人によってはアートで金儲けしたいの?って、村上さんの考えを不純なものとして捉えるような人もいますよね。逆に、村上さんにしてみれば、日本のアートシーンのインフラ整備なんて、ご自身でやる必要はなくて自分の作品だけに専念する方がリスクは少ないともいえるんじゃないでしょうか。
M: 「アートで金儲けしたいの?って、じゃあジブリの鈴木プロデューサーにも同じ質問をして欲しいですよね。アニメで金儲けしたいのって。作品を造るって夢を具現化させるという不可能性の高い事業なんです。だから無駄含みで金が湯水のように必要なんです。僕は日本で経済革命を起こしたホリエモンをある意味尊敬してます。お金を儲ける、そのことで社会とコミットメントする、ということをポピュラーにした彼の功績は負の部分を覆えるパワーを持っています。彼は著書で時間と金の関連を記述していた。そして彼の夢は宇宙事業とか人類を飢餓から救うミドリムシの培養事業とか、そういう不可能性の高いものだった。夢は具現化が極端に難しいが故に夢……なんです。ですが彼の夢を叶えるとき、日本の社会構造が持たなかった。もしくは既存の経済構造に彼が依存しすぎた。そこでの教訓はインフラを整備しないと大きな夢は果たせない、という事だったんです。だから、日本のインフラ整備に躍起になっているんです。例えば、ハリウッドでコンスタントにコマーシャルベースの映画を作り続けられる日本人の監督やプロデューサーがいたら、それって驚愕じゃないですか。僕はアート界でそれを既に行い続けているんです。今の所負けていない。でも日本では、その本場のアートシーンとは何かが掴めていないので実態が分からんのです。実態が分からないから恐怖して単純な『金儲け=悪』という構造に落としてホッとしている。金儲けをしてその稼いだ金でエンターティンして、未来を引き上げてどんどん加速出来る所まで加速させてって、そしたら世界最速のアートが出来るはずなんです。そして最終的な夢は東京を世界のアートの中心地に、なんです」
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