THINK PIECE > cornelius
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─── ところでアルバムタイトルの『sensuous』という単語。直訳すると“感覚的な”という意味になります。コーネリアスの音楽はしっかり聴こうとすると、「あ、こんなリズムを使ってる」「面白い効果音が入ってる」とか、頭でっかちに聴くことができると思うんです。でも今作はスッと入っていけて、そのうえ、なんだかバレアリックな浮遊感まで感じる。そういう感覚的な気持ちよさがsensuousなのかと、勝手に思ったんですが。
O: 聴く人の感覚によっていろんな角度から捉えることができる、という意味でsensuousですね。音の配置や組み方、鳴らし方、取り方などによって、音楽は伝わると思うんです。音を聴いたときに受ける感覚というのは、作っている側がコントロールできると思います、ある程度は。しかし音に隙間を作って、その隙間に聴き手の感じ方や思い入れが入ることで、楽曲は完成すると思うんです。前作もそういう感覚はありましたけど、今作の方がより強いですね。具体的には、前作では水の音や鳥の声などの環境音みたいな音を象徴的に使っていて、これらは具体的な景色が思い浮かびますよね。今作では、アルバムの頭と最後に風鈴の音を象徴的に使っています。でもメタリックな金属音からは具体的な景色が思い浮かばないし、仮に何かを思い浮かべたとしても、それは人によって異なると思います。こういう音は何とでも共存できるんです。隙間に聴いている人の感覚が合わさったとき、その人のなかで楽曲が完成する。聴いている人の感覚と共存していく。そういう隙間を作った意識は確かにありますね。
─── 今回、サンプリングは使っていますか?
O: 今作では使っていません。『point』のときもごく一部に使っただけです。
─── 音楽業界的には、サンプリングも含めて、権利については非常にデリケートな問題になっています。コーネリアスのホームページからは、コーネリアスの曲を勝手にBGMに使った映像が見られるYouTubeのページにリンクが貼ってあるし、クリエイティブ・コモンズ(リッピングしてCDに焼く、サンプリングやマッシュアップで音楽を作る、P2P上でファイル交換も大歓迎)のライセンスを全曲に採用したコンピCDにも参加されています。守りたいという人がいる反面、小山田さんのように広めたいという人もいる。わりと早い段階からこの問題について考えていたアーティストのひとりが、小山田さんだと思うんですが?
O: とりあえずYouTubeは面白いことになっていますね(笑)。アーカイブとしてすごいモノになっている。僕の曲を勝手に使って、勝手に動画を作っている人とかが結構いて、くだらないものも多いけど、すごく面白いものもあって、無償のクリエイティブというか。僕もいろんな音楽のタネみたいなものを吸収して自分の音楽にしていることは確かなので、僕の蒔いた音楽のタネが全然知らないところに広がって、思いもよらないカタチで帰ってくるのは面白いと思います。どうしても規制の方向に行きがちですけど、そうするとどんどん面白いものが出てきにくくなりますよね。音楽を作っているときも、自分が想定しているものじゃなくて、新鮮な驚きを感じたい。それが一番、面白さを感じるときなんです。
─── だからこそ、コーネリアスの音源を元にしたいろいろな枝が(勝手に)育っていくのだと思います。
O: アルバムはアルバムとしてひとつの完成品なんですけど、そこから派生するライヴパフォーマンスだったり、それこそYouTubeでの作品だったり、全部含めて、大きな意味でひとつのプロジェクトだと考えられますよね。
─── 最後の質問です。仮にコーネリアスのジャンルは何? って聞いても、エレクトロニカという人もいるだろうし、ロックという人もいるだろうし、ポップスという人もいるでしょう。メジャーはもちろん、アンダーグラウンドといわれるシーンでもカテゴリーが決まっていて、それに、うまく収まるように作られた作品が多くなっていると思いますが、コーネリアスはそういうカテゴライズを否定しているように感じられるんですが。
O: ひとつのジャンルではなく、すべての音楽と通じていたい、っていう気持ちが強いんですよ。それと同時にすべての音楽と距離をとりたい、とも。ぼくの音楽は、そういうものでありたいんです。
THE CORNELIUS GROUP “SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW”
2/23(金) 札幌 ペニーレーン24
3/2(金) 神戸 Wynterland
3/3(土) 岐阜 club-G
3/4(日) 金沢 Eight Hall
3/9(金) 東京 LIQUIDROOM ebisu
3/10(土) 仙台 CLUB JUNK BOX
3/11(日) 新潟 LOTS
3/16(金) 高松 オリーブホール
3/17(土) 広島 クラブクアトロ
3/20(火) 福岡 DRUM LOGOS
3/21(祝・水) 鹿児島 CAPARVO HALL
3/24(土) 沖縄 NAMURA HALL
3/31(土) 名古屋 ダイアモンドホール
4/1(日) 大阪 なんばHatch
4/5(木)・4/6(金) 東京 SHIBUYA-AX
 

OPEN18:00/START19:00
チケット:¥5,500(オールスタンディング)
問:CORNELIUSツアー事務局●03-5575-2043(平日11:00~18:00)


http://www.cornelius-news.com/live/


企画制作:3-D CORPORATIONLTD./ACID RAIN
協力:WARNER MUSIC JAPAN INC.


CORNELIUS GROUP are
小山田圭吾(G)、堀江博久(Key)、清水ひろたか(B)、あらきゆうこ(Dr)

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