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最近は曲作りのスタンスやペースなども、いい意味で力が抜けたというか、リラックスした状態でできているようですね。無駄な力みがないように思えます。自然体の自分を出せたという感じですか? |
O: |
基本的に自分のスタジオに通ってレコーディングしているので、あまりプレッシャーがかからない状態で制作できています。生活のペースや時間の流れ方も、比較的ゆるやかななかで作ってきました。『point』くらいからは、自分のペースでできるようになってきたんです。 |
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『point』後の数年間は、リミックス集を出したり、CM音楽制作に携わったり、坂本龍一さんらYMO周辺と絡んでみたりと、幅広い“課外活動”をしてきたと思います。それらの活動を含めて、『point』から今作へは、どのような流れがあったんですか? |
O: |
『point』のときは制作する前に、意識的に、音をそぎ落としていったり、シンプルな方向にいこうという考えがわりとハッキリあったんです。だけど今作では、自分でリミットは設けずに、無意識で曲を作っていきました。だからどんな方向にいくかは自分でもわからない。感覚的です。よりシンプルな方向にも行くかもしれない、派手な方向にも行くかもしれない。結果的にあまりゴチャゴチャしたものにはなりませんでしたけどね。 |
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今作はちょっとポップになって聴きやすくなった印象を持っています。複雑なリズムは相変わらず複雑。でもそこにグルーヴ感は確かに存在している。そして“歌っている”という感じがします。 |
O: |
前から歌ってはいたんですけど(笑)、いわゆるメロディラインを歌うってことではなく、声を加工したり、編集したり、素材として使っていました。それは今回もやっているんですけど、確かにメロディも歌いましたね。そんなにたくさんではないけど、普通に歌うのもいいなぁって。『point』の頃は環境音を配置したり、エディットしたりという、わりと手法的な部分が目立つ感じだったと思うんですけど、今作は、それがそうとは聞こえないようにやっています。一聴してスムーズに曲として聴ける。でもよく耳を澄ますと、中ではとんでもないことをやっている、と。 |
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