大沢伸一 × YOSA
「“存在の仕方”もクリエーションの一つ」
16 4/27 UP
photo: Shoichi Kajino
interview: Tetsuya Suzuki

- ──
- アルバムでは、多くのラッパー/ヴォーカルがフィーチャリングされていますが、歌詞の内容に関してディレクションはされているのですか?
- Y
- 「自分が表現したい世界観を音楽だけでなく言葉でも表現したいと思っていたので、参加していただいた方全員に曲ごとのテーマはお伝えしました。例えば”夜明け前”という曲は僕が出したテーマがそのまま曲名になっています。今僕は27歳なのですが、自分が好きなことを貫いて続けて花開きはじめる人と、逆にそれよりも大切にするべきものを見つけて新しい生活をはじめる人とで、分かれ道になる年齢だと思うんです。どちらが正しいとかではなくて、その両者にとっての新しいステージの幕開けと、そこに漂う不安や希望を伴う哀愁を表現したいと思って”夜明け前”というテーマにしたんです。これはこのアルバム全体のテーマにもなっていますね」


- O
- 「その27歳の夜明け前感、分かるわ〜(笑)。僕も27歳の時はすごく悩んでいました。僕はYMOに憧れて音楽をはじめたので、坂本龍一さんがその時々の自分の歳に何をしていたかというのをずっと追いかけていたんですよ。それで、僕の中では坂本さんは28歳で音楽家としてのブレークポイントが迎えたという認識だったので、27歳の時の僕はとにかく28歳までに何かになっていなければと必死にもがいていたんです。坂本さんのキャリアには全然追いついていなかったのですが、僕はその頃にMondo Grossoをソロでやりはじめて、初めて日本人のアーティストに楽曲を提供し出すようになったんです。それがUAやCHARAだったのですが、そこから僕のキャリアも変わってきたんですよ。だから27歳、28歳というのは色んな人にとって大切な時期だと思いますよ」
- Y
- 「僕が初めて日本のダンスミュージックを聴いたのはMondo Grossoの『Next Wave』だったので、27歳のタイミングでこうやって大沢さんとお話させていただけて本当に光栄です。大沢さんは最近Mondo Grossoの活動再開を宣言されて、僕としてもものすごく楽しみにしているのですが、個人名義とMondo Grosso名義では制作の手法は異なるのですか?」
- O
- 「まずMondo Grossoには裏切りと変化の歴史があって、それを鑑みると過去のMondo Grossoになぞらえたものに終始するのはダメだし、かといって僕が個人名義でやってきたダンストラックのようなものに特化してもダメ。制作の手法というよりもMondo Grossoはコンセプトでもあって、歴史もあるし、かかってくる負荷が個人名義とは全く違うんですよ。13年振りの活動なので、いざ曲を作りはじめた頃はなかなか答えが見つからなかったのですが、続けているうちに見えてきたものがあって。今はまだ言えないですが、今回も良い裏切り方を見せられると思いますよ」
YOSA『夜明け前 feat. ZOMBIE-CHANG & SALU』
incl. Shinichi Osawa remix
OMAKE CLUB
7inchレコード 2,000円[税抜]
2016年5月28日(土)発売
Manhattan Records