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THINK PIECE

高木完 × 東京弐拾伍時

東京弐拾伍時、初のミニアルバムリリースを機に実現したレジェンド対談。

15 7/28 UP

photo: Kentaro Matsumoto
text: yk

 

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このアルバムを制作するにあたって”単純にいい曲を”という以外に、自分たちより若い世代に聴かれるということを意識された部分はありましたか?
DJ HAZIME「個人的には若い子に向けてでもなければ、昔からのヒップホップファンに向けてでもなく、せっかく作って出すんだったら男も女も問わず、全世代に聴いてほしいという気持ちですね」
S-WORD「俺らって若い世代でもなくオールドでもなく、中間の世代なんだよね。だからこそできることがあるというか」
MACKA-CHIN「いつの時代になっても”間”って感じだよね。さんぴんCAMPの時で既に先輩と後輩に挟まれた世代だったもん。それから20年経って、気づくと楽屋で一番歳上だってことも増えたけど、それでもシーン全体を見渡すと、今日こうやってリンクした完さんみたいな先輩がいたり、この間のVisionでのDev Large追悼イベントでも感じたけど、やっぱり俺らは今でも中間だよね」
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先日行われたDev Largeさんの追悼イベントは、平日にも関わらず会場内に入り切れない人で長蛇の列ができたほどでしたが、皆さんにとってはどんな日だったのでしょうか?

S-WORD「まだ消化し切れていない部分もあるんですが、出演したアーティスト達の中で、かつてあった垣根みたいなものがなくなったと思いましたね。ライバル意識とかが消えて、純粋に一つものを表現しようとしていたというか」
高木完「10年、20年経っても同じものが好きな人たちの集まりだったから、同胞意識みたいなものは強くあったと思うな。共に向上していこうというようなね。風営法改正に向けてDJ達が団結した時もそうだったけど、今は近いところでいがみ合っている場合じゃなくて、皆で力を合わせて好きなものを続けていこうという雰囲気があるよね」
MACKA-CHIN「でも、Dev Largeのイベントに関しては”追悼”イベントだからね。そうでなければ最高だったと思うけどさ」
DJ HAZIME「そうそう。だから、あれほど大きな規模ではなくても、半年に一回くらい開催する同窓会のようなイベントがあってもいいかなと思っていて、実は既に水面下で動いているんです。誰かが亡くなってから集まるというのでは寂しいので、皆が元気なうちに顔を合わせる機会が作りたいなと思って。”中間世代”として、上にも下にも声をかけられる位置にいるとは思うので。年内には一度開催してみる予定です。近いうち、完さんにもお声掛けさせていただくと思うんですけど(笑)」

 

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『TOKYO 25:00』を作り終えて、皆さんの感想を教えてください。
S-WORD「自分がやられた90年代へのオマージュを含みつつ、”今”を表現できた作品になったと思っています。それから、日本のヒップホップも今は20年、30年という歴史ができて、かつてのネタやパンチラインを引用するような、二次的なサンプリングができるような厚みができてきたのかなと改めて感じることができました」
DABO「HAZIMEは特に何も考えず面白いことをやろうとして、って言いますけど、このアルバムはHAZIMEが作った土台に僕ら4人のラッパーがそれぞれの意味付けをしていった作品なんです。90年代のヒップホップを聴いている人たちは、どうしても旧譜を聴き漁るしかないじゃないですか。そんな中でこれはリリックやラップの仕方で90年代のフレーバーを匂わせつつ、サウンドは完全に現在進行形。それから、若い頃に自分たちが実際に聴いてやられた、
世の中に対する問題提起をするようなラップの世界観が満載だなと感じましたね」
SUIKEN「まず、HAZIMEがよく仕切ってまとめてくれたなと思います。今回はミニアルバムですけど、もっと長く聴きたいなとも感じました。あと、単純にもっと出番ほしいなって(笑)」
MACKA-CHIN「自分はいつまでも現役でやり続けたいと意識しているタイプなので、懐古主義にはなりたくないんです。常に”今”でありたいし、アップデートしていきたい。若い頃は若い頃に思っていたことを歌ってきましたけど、このアルバムでは、全員40歳になった今の俺たちが思うことを等身大で表現できたんじゃないかなと思います。理想としては、このアルバムが日本語ラップ好きだけでなく、洋服屋の店員とかにもかっこいいと思ってもらえたらいいなと思いますね。”40歳でラップ!?”とか言われたらそこまでなんですけど(笑)」
DJ HAZIME「良い作品ができたなと思いますよ。作っている側からすると、完成までに何度も聴いているので、発売する頃には飽きてしまうこともあるんですけど、これは今のところまだ飽きずに聴けています。完成後にどれくらい長く飽きずに聴けるかというのが、自分の中で良い作品かそうではないのかの指針になっているので、そういう意味でも良い作品だなと。僕らはヒップホップやラップが好きで集まった初めての友達なので、喧嘩もしないし楽しいまま今までずっとやってきているんですよ。なので、それをこれからもずっと続けていきたいと思います。後輩や先輩に、またシーンに向けてと気負うのではなく、最初にヒップホップを共通項に集まった頃と同じ気持ちで、自分たちが面白いと思うことをやり続けていきたいですね」

 

 

東京弐拾伍時『TOKYO 25:00』
2,000円[税抜]
発売中

01.24:59
02.東京弐拾伍時
03.OLE OLE オレ
04.Time Check
05.ラン(乱)ナーズ・ハイ
06.Lucifer's Out feat.AKLO
07.時間ヨ止マレ feat.MURO&PUSHIM