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THINK PIECE

DEXPISTOLS『LESSON.8 “TOKYO CULT”』

国内シーンを牽引するDJバンドによる、LESSONシリーズ最新作。

14 4/7 UP

photo: Shoichi Kajino
text: yk

プロデューサー/リミキサーとして活躍するDJ MAARと、デザイナーとしてもキャリアを続けるDJ DARUMAによる
2ピースDJバンドDEXPISTOLS。国内ダンスミュージックシーンを代表する彼らが発表する"LESSON"シリーズは
常にシーンに多大な影響を与えており、前作からの2年間もその新作が多くのファンによって待ち望まれてきた。
そして遂にリリースされた『LESSON.8 “TOKYO CULT"』では、既存のトラックをDEXPISTOLS流にジャックした
"Lazy Edit"を中心に、彼らにしか作ることのできない"異物感"にまみれた作品となっている。

 

──
実際の制作にはどのくらいの期間をかけたのですか?
D
「構想が始まってから1年くらいですね。まずはポストダブステップやトラップの流れでBPM140くらいのトラックをセレクトして、それを一つにミックスしたものの上で僕らが選んだラッパーがラップするという、ビートジャック的なものを考えていたんです。それは誰もやったことがないし、僕らじゃないとできないことかもしれないと思っていたのですが、途中で権利的な関係で無理だということが判明して(笑)。それを経て、当初のアイディアを可能な限り実現しながら今のミックスが出来上がったんです」
──
DEXPISTOLS Lazy Reworkとされているものが、まさにそのアイディアで作られたものですよね。
D
「そうです。周りにいるトラックメーカーの曲をエディットして、好きなラッパーに歌ってもらいました。もちろん友達だから収録したわけではなくて、純粋にいいと思える曲を作っている人が周りにたくさんいたんです」
──
TOKYO CULTというタイトルは制作中から意識していたのですか?
D
「いや、完全にできてからです。完成して自分で聴いて、我ながら訳の分からないミックスができたなと(笑)。ただ訳の分からない中にカルト的な要素を感じて、同時にトーキョーらしいなとも感じたんですよ。だからTOKYO CULTというタイトルにして、アートワークにもそのカルト感を表現しました」
M
「このジャケを初めて見た時、"うわーダサい"って言ったけどちょっとNOFXっぽくて大好き (笑)。これがプリントされたTシャツとかスケボー欲しいもん(笑)」
──
今作でLessonシリーズも8作目となりますが、スタートした時から現在までそのコンセプトは変わっていないですか?
D
「最初は、こういうものを聴いたらパーティがもっと楽しくなるとか、昔のこんな曲を今聴き返したら面白いとかっていう、聴く人に対してのレッスンというコンセプトだったんです。でも今思い直してみたら自分たちに対してのレッスンだったんじゃないかと思っています。自分たちが色んなものを吸収して成長していくための教本なんじゃないかと。ヒップホップシーンに昔からあるレッスンシリーズへのオマージュでもあるので聴く人それぞれに解釈があっていいのですが」

 

──
そこで言うと今回はどんなレッスンでしたか?
D
「これ何?どう思う?みたいな(笑)。もちろん自分たちはものすごく気に入っているのですが、この異物感どう?っていう(笑)。分かりやすくBPM140のポストダブステップを集めただけのミックスよりも、今回出来上がったものの方がDEXPISTOLSらしいと思いますし、結果的に良かったですね。エレクトロだって最初は異物感の固まりだったからこそ、たくさんの人の興味を惹いたわけですし」
M
「はじめは誰にも分かってもらえなくてね(笑)。色んな人に聴かせてもはてなマークを出され、あげくの果てにはPAさんに"こういう曲なんですか?"って聞かれるという(笑)。でも新しいものってそういうものだと思うし、そういう異物感がないものばかりじゃつまらないじゃないですか」

 

DEXPISTOLS 『LESSON.8 “TOKYO CULT"』

tearbridge records / avex group / NFCD-27355
発売中
3,024円[税込]
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