FILTH
アーヴィン・ウェルシュ原作の映画最新作はクライムコメディー
最凶最悪刑事ブルース・ロバートソン参上
13 11/29 UP
photo: Kentaro Matsumoto text: Nagako Hayashi


- ──
- マカヴォイ氏は役作りのために、毎日ウィスキーを相当量飲んで撮影に挑まれたとか。
- 「そう。顔がむくんだアル中のブルースになるために飲んでいましたね。撮影中は、カメラの前で頬をぱんぱん叩いたりと彼は常に中年男のむくんだ感じを出そうと努力をしていた。普通は、役者もエージェントも年上の役を嫌がり若い役を希望しますが、彼は勇気があった。また、とても知的で、ジョン・S・ベアード監督が、『彼は将来、監督になるのではないか』と言っていたのですが、カメラワークやライティングなどにも細かく注意を払っていたのが印象的です」
- ──
- 映画には、プロデューサーとして参加されたんですよね。脚本はすべてベアード監督でしょうか?
- 「そうです。ジョンは共同執筆しようと言ってくれたのですが、私が入ると原作に近くなりすぎるし、一度終わった本に立ち戻ることも嫌だった。映画版としての新しい視点が必要だったので、ジョンには『いちいち確認しなくていいから、これでいいと思う段階になったら見せて』と言いました。


- その9ヶ月後くらいには出来上がった脚本のハードコピーを、家のドアの下から差し入れてくれたのですが、それを読んだ時、いい映画が出来ると確信しました。それからすぐにキャスティング会社や配給会社の人に会い、イギリスやオーストラリアでは脚本のみでプリセールが決まったんです。日本のパルコも脚本とマカヴォイの配役がついた段階で買ってくれた。これはかなり珍しいことで、すべてジョンのパワフルな脚本のおかげです」
- ──
- 最後に、映画『FILTH』を心待ちにしている日本のファンに、一言コメントをいただけますか。
- 「是非、見て下さい。マカヴォイの演技は、『タクシードライバー』のロバート・デ・ニーロ、『テイク・シェルター』のマイケル・シャノンに匹敵する、またはそれ以上に魅力的。単にクレイジーなだけではなく、ペーソスや哀しみも溢れている。みな、心が引き裂かれるような気持ちになると思います。シェークスピアやギリシャ悲劇のような、壮大な演劇としてのスケール感もある映画です」
フィルス
原作:アーヴィン・ウェルシュ
監督:ジョン・S・ベアード
出演:ジェームズ・マカヴォイ、ジェイミー・ベル、イモージェン・プーツ、
ジョアンヌ・フロガット、ジム・ブロードベント、エディ・マーサン
配給:アップリンク パルコ
http://www.uplink.co.jp/filth/
シネマライズ他にて全国ロードショー中