LATE NIGHT BLUES
音楽プロデューサー・井出靖、14年ぶりのソロアルバムリリース!
12 7/9 UP
photo: Kentaro Matsumoto text: Tetsuya Suzuki

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- その一方で音楽シーンの環境は、前作を出された90年代の後半とは大きく違うと思います。実際、当時は「シーン」というものをどうしたって意識せずにはいられない状況があったと思うんです。
- 「そこは当時と全く違いますね。確かに、この作品が音楽シーンのどの場所にあるかというようなことは一切考えませんでした。ただ、それは自分のレーベルから出すということによる変化だと思います。もう、誰からの要望もきかなくいいし、誰の許可もいらないわけだから。ジャケットのアートワークやプロモーションの仕方も含め、自分の好きなように完全に自由に作れるわけですからね。その辺はミュージシャンへのオファーの仕方にも表れていて、まあ、弾き方のリクエストもそうですが、ギャラの交渉も僕がやってるわけでね(笑)、これは、普段のレーベルのプロデューサーとしての仕事のなかで培った信頼関係をもとにしていますよね、今回は」


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- 言うなれば、井出さんが各ミュージシャンの持ち味を引き出して、楽曲のスタイリングをする、というような。
- 「そうとも言えますね。もちろん、楽曲のもとになる部分、服で言えば型紙や素材選び方は自分で作るわけですが、色の付け方は周りのミュージシャンにある部分任せるような。その意味では何色のものでも作れるわけですよね。例えばアルバムの2曲目にオルガンが入っているけれど、これがシタールだったらまた色合いが違う。結果、僕がオルガンと決めたから堀江(博久)くんにお願いしたわけで。(高木)完ちゃんなんかも、3つくらいテイクをくれて『どう使ってもいいよ』っていう。録って編集して、また編集というような。素材となるテイクを先にもらってあとから使い方を考える、というような。前作と比べるとテクノロジーの進歩というのもあって、ミュージシャンによっては、実際には、僕は録音に立ち会わずデータだけを送ってもらうっていうこともありました。ミュージシャンのなかには、自分の家で完パケたいって人もいるんですよね、今は」
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- しかし、そうやってバラバラに作られたものでありながら、作品は「井出バンド」的な一貫した雰囲気を醸し出しています。
- 「やっぱり、うちのレーベルでお付き合いがある人が多いので、それぞれのミュージシャンからバラバラに音をもらっているけれど、ある意味バンド的というか、お互いよく知る間柄で作られたアルバムだとはいえますね。あと、このアルバムは、ライブが出来るような作り方を意識したので。次回作への希望もありますが(笑)、まず、どこかでライブができるといいですね」