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THINK PIECE

TODD SNYDER

デザイナー本人が語る、 "TODD SNYDER"の真意。

11 11/4 UP

text:Jun Namekata

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今メンズファッションシーンは、モードの世界におけるクリエーションからベーシックでトラディショナルなものを見直すということにシフトしていって、ある意味アンチトレンドであることがトレンド的な状況ができていると思います。つまり、トレンドがないことが楽しいとポジティブに捉えられている。ご自身がクリエートされるコレクションを通して、そう感じるようなことはありませんか?
「私は自分のコレクションを始めてから、あまりまわりに影響をされすぎないようにしていますし、特に製作中であれば他の情報をシャットアウトするようにしているので、個人的にそういった強い実感はないですが、それは非常におもしろい視点だと思いますね」

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2000年代に入ってから大きなトレンドが無くなった分、着る側も作る側も自由度が上がっています。トレンドのオブセッションにとらわれていたときよりも着こなしの幅が広がっていて、男性がファッションを楽しめる場がいまだかつてないくらいあると思います。カリスマデザイナーのクリエーションを享受するだけでなく、自分達で選べる。そんなアクティブなサイクルの中に"トッド スナイダー"というブランドはぴったりとフィットする存在なのだと思います。
「ありがとうございます。ただ、私はマーケットがそういうものを求めているからやっているというよりも、そもそもそういうスタイルが好きでファッションに携わってきたというところはあります。だからトレンドという文脈に大きく左右されないラルフ・ローレンが大好きだし、そこで経験をし見てきたものが大きな糧となっています。繰り返しになりますが、それが過去の素晴らしさを再発見し、それを革新していくというスタイルです。単純にページをコピーしたりということではなくて、ヴィンテージの良い要素を残しながらそこに自分の視点を交えて新しく作り替えることが、僕が常に惹かれてきたファッションなのです。私はヴィンテージアイテムをたくさんコレクションしているし、映画にしても時計にしても何にしても古いものが好きなのですが、それを単にリプロダクションするのではなくエッセンスを残しながら今に“置き換えていく”ということが、僕のファッションデザイナーとしての基本的なスタンス。これからもそういう風にやっていくだろうと思います」

 

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"トッド スナイダー"の服はファンタジーではなくリアル?
「"リ・イマジンド・クラシック"それが"トッド スナイダー"のコンセプトです。それはクラシックなものをもう一度想像しようということ。再現しなければいけないものは再現しますが、プロポーションやスペックで新しい解釈を加える。トレンドがあるようでない今ですが、その中でクラシックをトレンドとしてリ・イマジンする。ファンタジーという意味でも同じです。クラシックなものにファンタジーを感じながら、今の世の中の動きに合わせていく。それが"トッド スナイダー"の根本です」
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最後に今後の展望などがあればお聞かせいただけますか。
「次のシーズンでトライしようとしているのはソフトテーラリング、つまりソフトスーツを作ることです。この方法で野暮ったくない洗練されたスーツを作るのは難しいですが、ぜひ楽しみしていてください」