───まずはお二人が出会ったきっかけから話を始めたいと思うのですが。 |
|
松浦勝人 (以下:M) |
|
最初に会ったのは、一回目のap bank fesでアーティストの出演依頼を受けたときです。そのときに環境問題についても話してくれたんだけど、ものすごく真剣に取り組んでいることがわかって、正直すごく驚きました。会う前は、何でアポイントが入っているんだろう、何の話だろうくらいにしか思ってませんでしたけどね。 |
|
|
小林武史 (以下:K) |
|
いくら僕が真剣に話をしても、伝わるかどうか、わかってもらえるかどうか、最初は半信半疑だったんです。でも松浦さんは何か柔らかいものを持っていて、本質をすっとつかめる人なんだなと感じました。だから、そのときに僕の言いたいことの大半は伝わったんじゃないかな。 |
|
|
|
|
|
|
───その「ap bank fes」を経て、少し形の違う「東京環境会議」というイベントを企画されたのは何故なのですか? |
|
K: |
2回目の「ap bank fes」を終えてみて、これが環境愛好者だけの集まりになっても仕方がないという思いが出てきたんです。たくさんの人が集まってくれるけど、“いい人”じゃないと入れないようになったら意味がないと。“いい人”じゃない人に向かって「あなたにこんな話をしても仕方がない」と言って切り捨てながら環境問題を論じることなんてできないじゃないですか。“いい人”にも、そうじゃない人にも未来はやってくるわけだし。 |
|
|
───今回のテーマは「環境と欲望」ですね。一見、全く両立しないもののように思えるのですが。 |
|
K: |
環境のことって、誰もがわかりやすい方向性を求めがちじゃないですか。大きな一つの絵を描こうとか、みんなで綺麗な緑を作ろうとか。でも、そんな理想に賛同するのは一部の物好きだけで、実際には一人一人それぞれ環境に対する意識は全然違うと思うんです。だから今の段階では、それをコラージュみたいに繋いでいくのがいいんじゃないかな。多分それが正しい姿で、そういう多様性を持っているのが自然なんだと思います。今回、「東京環境会議」のテーマを「環境と欲望」にしたのは、「環境」という言葉だけでは敬遠しちゃいそうだけど、「欲望」って言葉が付いていたら来やすいんじゃないかと考えたからです。そんなふうに感じる人が来てくれて、何か一個でも引っ掛かるものがあったらいいなと思っています。 |
|
|
M: |
言葉の捉え方の問題で「欲望」と聞くと、食欲とか性欲とか所有欲とか、消費することが先に来てしまうけど、環境問題に取り組みたいというのも欲望じゃないですか。節約したいと思えばそれも欲望だし、我慢したいというのも欲望。そう考えると面白いテーマですよね。 |
|
|