THINK PIECE > 小林武史×松浦勝人
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元アメリカ合衆国副大統領 アル・ゴアによる地球環境への取り組みを描いたドキュメンタリー映画『不都合な真実』が公開され、かつてないほど環境問題への注目度が高まっている。そんななか、今年3月、3daysオールナイトで繰り広げられる音楽イベント「AP BANG! 東京環境会議 vol.1」が新木場STUDIO COASTで開催される。ap bankを主宰し、かねてから環境問題に取り組んできた小林武史は、この新たな試みでいったい何を意図しているのか。友人でもあるエイベックス代表取締役社長 松浦勝人を対談相手に迎え、「東京環境会議」の意義とそれぞれの活動を語る。真摯に未来を見据える2人にとって、火急の課題となった環境問題はどのように映っているのか。   東京環境会議
http://creators.apbank-ecoreso.jp/
 
 
「環境愛好者だけの集まりになっても仕方がない」
 
───まずはお二人が出会ったきっかけから話を始めたいと思うのですが。
 
松浦勝人 (以下:M)
  最初に会ったのは、一回目のap bank fesでアーティストの出演依頼を受けたときです。そのときに環境問題についても話してくれたんだけど、ものすごく真剣に取り組んでいることがわかって、正直すごく驚きました。会う前は、何でアポイントが入っているんだろう、何の話だろうくらいにしか思ってませんでしたけどね。
 
小林武史 (以下:K)

いくら僕が真剣に話をしても、伝わるかどうか、わかってもらえるかどうか、最初は半信半疑だったんです。でも松浦さんは何か柔らかいものを持っていて、本質をすっとつかめる人なんだなと感じました。だから、そのときに僕の言いたいことの大半は伝わったんじゃないかな。
 
 
 
───その「ap bank fes」を経て、少し形の違う「東京環境会議」というイベントを企画されたのは何故なのですか?
 
K: 2回目の「ap bank fes」を終えてみて、これが環境愛好者だけの集まりになっても仕方がないという思いが出てきたんです。たくさんの人が集まってくれるけど、“いい人”じゃないと入れないようになったら意味がないと。“いい人”じゃない人に向かって「あなたにこんな話をしても仕方がない」と言って切り捨てながら環境問題を論じることなんてできないじゃないですか。“いい人”にも、そうじゃない人にも未来はやってくるわけだし。
 
───今回のテーマは「環境と欲望」ですね。一見、全く両立しないもののように思えるのですが。
 
K: 環境のことって、誰もがわかりやすい方向性を求めがちじゃないですか。大きな一つの絵を描こうとか、みんなで綺麗な緑を作ろうとか。でも、そんな理想に賛同するのは一部の物好きだけで、実際には一人一人それぞれ環境に対する意識は全然違うと思うんです。だから今の段階では、それをコラージュみたいに繋いでいくのがいいんじゃないかな。多分それが正しい姿で、そういう多様性を持っているのが自然なんだと思います。今回、「東京環境会議」のテーマを「環境と欲望」にしたのは、「環境」という言葉だけでは敬遠しちゃいそうだけど、「欲望」って言葉が付いていたら来やすいんじゃないかと考えたからです。そんなふうに感じる人が来てくれて、何か一個でも引っ掛かるものがあったらいいなと思っています。
 
M: 言葉の捉え方の問題で「欲望」と聞くと、食欲とか性欲とか所有欲とか、消費することが先に来てしまうけど、環境問題に取り組みたいというのも欲望じゃないですか。節約したいと思えばそれも欲望だし、我慢したいというのも欲望。そう考えると面白いテーマですよね。
 
 
「実感を伴うことにお金をつかっていく」
 
M: さっき小林さんから誰にでも未来は来るっていう話があったけど、僕も環境問題を意識し始めたのは、子供が生まれてからなんです。それまでは、この先も続いていく未来という意識が僕の中で実感できなかった。でも子供がいると、どうしても先のことを考えてしまいますよね。
 
───具体的にはどんなことに取り組みたいと考えていますか?
 
M: 小林さんにうかがったあるプロジェクトの話があって、それはまだ詳しく言えないのですが、すごく真剣に取り組まれてると思いました。うちの会社なんて、中途半端にやっても偽善っぽく見られる(笑)。だから、やるならわかりやすい形できっちりやるべきだと。世の中にはいろんなチャリティーの話がありますが、問題なのは、どこに寄付するかだと思うんです。有効に使ってくれる団体、名目は環境だけど、それでお金を儲けようとしている悪質な団体、それを見極めるのが一番難しい。明確に信頼性の高い団体が必要だなと感じますね。
 
 
───その信頼性の高い団体としてap bankがあればいいんですね。
 
K: そうですね。ただそれはどちらかというと組織の問題だから、安請け合いしては駄目で、慎重に考えていかなければいけない。ODAにしても民間の環境活動にしても、オーガナイズしていくことが大変なわけで、その仕組みを作る必要があるとは思ってるんですよね。今僕が考えているのは、お金を出して海外に植林したりしたりするのも良いんだけれど、そうではなくてもっと実感を伴うことにお金を使いたいということ。何か民意を変えていくことにお金を使っていける、上手い仕組みを作れないかと。
 
 

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