THINK PIECE > NUMBER(N)INE A/W 06-07
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パリ、メンズ・コレクションの初日、バスティーユからほど近いメゾン・ルージュというアート施設を会場に行われたナンバーナインのショー。2004-05秋冬コレクションでのパリ進出以降、今回が5回目となる2006-07秋冬コレクションを発表した。

おなじみの日本人のスタイリスト&バイヤーが次々に顔を出し、オープンを前に会場には多くの人だかり。慌ただしく行き来して準備をするスタッフが全員着用していたのは真っ黒なTシャツ。「NOIR」と刷られており、テーマは「NOIR(=黒)」ということらしいのは、その時点で予想できた。

慌ただしい空気から一転、一瞬の静寂を打ち破るようにスタートしたショー。大音量で会場に流れてきたのはポーグス。アイリッシュ・トラッドとパンクを融合させた彼らの音楽にのり、登場してくるモデルたちは、全員が全身を黒い衣装で覆われている。完全に「NOIR(=黒)」で統一されたコレクションは始まった瞬間に圧倒される勢いがあった。

クラシックなスーツ・スタイルもあれば、特徴的なミリタリー・テイストなジャケットやロック・テイストなレザーも目を引く。ひらめくようなシルエットの美しいコート類やまるでジェダイのようなマント・スタイルも印象的であった。かぶり物では耳当ての付いたカウボーイ・ハットやハンチングも新鮮。もちろんスカルをモチーフにしたアクセサリーの類いもすべてが黒で統一されている。
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黒=ミニマムかつシンプルという先入観で、比較的ストイックで強いコレクションの印象を受けていたのであるが、実際にモデルたちの洋服が間近でよく見えてくるようになると、それぞれの細かいディテールがデコラティヴにデザインされているのが分かる。ハンドワークによるクローバーのエルボーパッチやアイリッシュをイメージするようなアーガイルの手刺繍、ケルトモチーフのコード刺繍。 冷たい黒のコレクションというよりも、よりフォーキー&トラッドな空気を感じさせる、あたたかさのある黒のコレクションという印象を受けた。

これまでのナンバーナインが確立して来たともいえるロック・スタイル、ストリート・スタイルのステレオタイプなイメージから一線を画して展開されたコレクションの様に感じられた。

今シーズンのアクセル・ローズ全開の赤・白・黒なスタイリングも興味深いが、早くも秋冬の到来が待ち遠しい!
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Text&Photo:Shoichi Kajino
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