honeyee.com ｜Web Magazine「ハニカム」

かねては記録的な意味も併せ持っていた絵画は、アートというよりも時代の背景を写し出す貴重な資料として役割も担っていた。しかし、写真の普及により絵画の役割は変化する。記録的な意味合いは薄くなり、芸術性を重視。コンセプチュアルで抽象的な描写のなかからその時代背景や作家の想いを読み解いていく、心理ゲームのような様相をていしている。ゆえに近年のアート作品には目にした瞬間のインパクトと眺めるうえでの奥深さが必要になる。

そこで加賀美健である。これまで国内外での個展の開催やグループ展へ参加する一方、ロックグループ「Deerhoof」とのライブパフォーマンスやブランド「C」の展開など、活躍の幅は実に広い。そのどれもがアーティスト・加賀美健として成立しているから面白い。子供が飛びついて喜びそうなポップな作風でありながら、その題材は子供には見せられないほど卑猥。相反する要素の組み合わせは、観る者にインパクトを与える。

そんなアーティスト・加賀美健の新しい作品（？）としてショップ「STRANGE STORE」がオープン。自身は「サンフランシスコ、神保町、高円寺がミックスされたようなイメージ」と語りながらも、場所はお洒落に代官山。決して広くない店内には自らセレクトした古着をはじめ、古本や雑貨など、様々なアイテムが並び、まるで加賀美健の脳内を覗き見るような不思議な感覚に陥る。このうだるような暑さのなか是非、奥深き加賀美健ワールドに足を運んでみてほしい。

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