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「......リサーチ」デザイナーの小林節正のシューブランド「SEtt」が、2010A/Wシーズンから再始動する。待望の復活第一弾を飾るのシューズが、このマウンテンブーツだ。

製品化の実現まで約3年かかったという力作は、日本の熟練した登山靴の職人の手作業によって生産される。アッパーの革は、耐久性に優れるという理由からスイスのガルザー社の製品を選び、ノルウィージャン製法という非常にめずらしい技法で製作している。仕様面での主な特徴は、山に対応できることを大前提に、タウンユース化への工夫がなされていることが挙げられる。その意図から、アッパー全体の芯材を減らし、ソールに屈曲性を持たせるなど独自の最適化を行ない、街から山までシームレスな実用を可能としている。またクラシックでクラフトマンシップ溢れる外観に、マウンテン リサーチでお馴染みの「Anarcho Mountaineers」のAマークをレーザーで彫刻していることが、小林らしいユーモアである。

この一足に限らず、そもそも本格的なマウンテンブーツは、購入後すぐに足に馴染むようなつくりではなく、メンテナンスを行ないながら時間をかけて履きならすことが望ましい。そこで重要となるのがサイズ選びである。このブーツを長く愛用するためには、街履き感覚のオーバーサイズでなく、あくまでジャストのフィットが好ましく、その理由から実店舗での対面販売のみでの展開となるという。

いわゆるファッションのシューズと対極に位置するこのブーツは、スピーディーな消費社会の流れと異なる時間を歩む、極めて異質な独自性の強い一足となっている。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato