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2010s/sシーズン、ドメスティックブランドが勢いづく国内のメンズファッションの市場で、特異なプレゼンスを醸し出しているのが、海外在住の日本人デザイナーが手掛けるファッションブランドだ。折衷主義を体現するコレクションは、既存のカテゴライズにとらわれない魅力を打ち出している。イタリアに在住する藤田一星が主催するルーメン エ ウンブラも、この傾向に該当するブランドのひとつである。

藤田は、伝説的なブランドとして名を馳せたカルペディウムで経験を積み、2006年に自身の創作を開始した。コレクションの特色は、従来のファッションブランドと異なる素材や立体形成の観点であり、その着想は主に人間工学から得ているのだという。今季の人気アイテムであるカーディガンやスウェットパンツも独自性の強いスタイルでまとめられ、2点ともに見られるレイヤー風の仕様は、実用性や耐久面の強化も視野に入れ行われている。ルーメン エ ウンブラが提案するテクスチャーの質感と個性的なシルエットが織りなすコントラストは、新しいリアルクローズの方向性のひとつを示唆している。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Shusei Tsukahara