BOTTEGA VENETA
合わせやすいラウンドトゥでまとめられた
メンズファッションの中庸に着くシューズ。
10 2/24 UPDATE
2010S/Sのボッテガ・ヴェネタのメンズプレタコレクションは、メンズウエアの核をなす、テーラーリングに基づく構成力とスポーツウエアの快適さ、その中間に位置する軽妙なバランスを徹底追求している。つまり、ある種のルールに基づいて構成されたファッションを、持ち味を損なわない加減で、遊びを取り入れることでツイストさせ、新たな魅力を引き出している。それは、ルックしかり、単体のピースしかりで、全体を通じて一貫している。
今回のコレクションにおいて非常に重要な役割を果たしているのがシューズ類である。コーディネートでのボリュームをまとめるために、つま先は全型共通してラウンドトゥでまとめられ、ソールは上品かつ快適、それでいてプレゼンスが感じられるようなスタイルが選ばれている。そのすべてが素足でもソックスでの合わせでも履けるように対応がなされている。
そのなかからいくつか代表的なモデルを挙げると、まず左側のローファーは、アッパーのトゥをかなり大胆にアレンジした、今季のコレクションの傾向を象徴する一品。絶妙な色彩のレザーは、ハイドカーフをマットな質感に仕上げつつ、部分的に強くポリッシュすることで、このトーンと質感をつくり出している。
ランウェイのキーアイテムとなっていたフィッシャーマンサンダルも一際目立つピースである。厚底のラバーソールに、ベンチレーション効果を高めた幅広のストラップを用いることで、遊びのエッセンスだけでなく、快適さも備えている。さらにこの2足どちらも共通していえることは、木型自体に極端な癖がないために、非常に合わせやすい、ということである。
このような主旨でメンズファッションのレンジの中間を着く発想は、ボッテガ・ヴェネタのクリエイティブディレクターであるトーマス・マイヤーが以前から追求してきたスタイルであり、トレンドとは一線を画すアプローチである。しいてはここにきて時代が大きく移行し、カジュアル化が進行する現在だからこそ、その意向がより顕在化しはじめたのであろう。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato