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ルカ・オッセンドライバーがメンズのデザイナーに就任からはや数年、もはやパリメンズプレタポルテコレクションを牽引するポジションに立ったランバン。設立から120周年を迎えた世界最古のメゾンであること以上に、その抜きん出た提案力によって世界をリードしている。

他社を数歩先をゆく絶妙なタイミングで打ち出される提案は健在で、2010S/Sコレクションでは、全体を通じ、これまで以上にカジュアル色の高いアイテムが並び、スポーティーかつコンフォートな印象が強く、メンズモードの新境地ともいえるスタイルを披露している。

さらにそこには、ランバンがランバンたる所以ともいえる、フランスという国だけがつくり出せる「エレガンス」が確実に存在している。ここでのエレガンスという言葉は、ファッションの世界でいうところの、パリ固有の文化を芯に宿すということを意味し、その性格は時には製品以上にクリエイションを物語る。これがあるからこそ、どのようなエッセンスを取り入れようとも、コレクションの全体像は一貫性を保ち、柔らかなニュアンスを生み出すことが可能なのである。

このタイ地のシリーズがまさにそうで、鮮やかなパターンのテキスタイルを軽やかに使いこなし、すべてのアイテムには、このメゾン特有のエスプリが反映されている。

オートクチュールの創始者であるシャルル・フレデリック・ウォルトらが開発した近代のファッションのシステムとともに、他国の文化への敬意とともにその長所を柔軟に消化するフランスの態度は、この世界を長きに渡ってリードし続けてきた。この姿勢がもたらす影響力は今後どのように変化していくのだろうか。時代を読むという意味でもその変容は俄然注目に値する。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato