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現代のファッション、特にメンズにおいて、イギリスをルーツとするスタイルやアイテムは、その文化背景からか、この国だけが持つ独特の厳格なムードを宿している。その例をざっと挙げると、サビルローのスーツからセディショナリーズと、レンジも広く、ルイスレザーやドクターマーチン、クラークスにマッキントッシュなどなど、枚挙にいとまがない。

そうしたイギリスのファッションカルチャーをふんだんに取り入れ、この日本から発信されるファッションブランドが、ガントレッツである。

デザイナーの鶴田研一郎は、インポートブランドのディストリビューターとして、長年ロンドンと東京を拠点に、グリフィンらを筆頭に、数々のブランドを日本に紹介してきた人物として知られている。

2010S/Sではクロジーングとしての強さとカルチャー色を織り交ぜた力強い提案を行っている。なかでもコレクションを象徴し、なおかつ傾向を読みやすいピースが、このベストとショートパンツである。

ヴィンテージのレザージャケットの長所を熟知する鶴田が時間をかけ探し出したというシープスキンにスタッズなどで装飾したベストと、ブラックウォッチの織り地に英国を象徴するブルドックのタグを取り付けたショーツは、どちらも分かりやすく、それでいてやりすぎない加減で、着るものとしてのリアリティを有している。

やはりメンズファッションのコーディネイトにイギリス的なアイテムが一点でも入ると、どこか不思議と全体が引き締まる。その効果は、今のようなルール無用のなんでもアリな時代でこそ威力を発揮し、メンズファッションの魅力を引き出しながら、そのルーツを喚起させてくれる。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato