ODYN VOVK

ODYN VOVK

適材適所ともいえるリリースでみせる、
注目のデザイナーによるメッシュキャップ。

10 1/13 UPDATE

立ち上がりの早いブランドから徐々に2010S/Sシーズンの商品が店頭に立ち並び、店舗の様相が変り出すこの1月。

とはいうものの、少なくともここ日本では、まだまだ2009A/Wの重衣料が店舗スペースの大半を占め、メディアやショップがいかに先導しようとも、消費者の気分や購買意欲が2010S/Sの新作に完全にシフトするのは、もう数ヶ月かかることは目に見えている。このようなタームは年々大きなギャップや歪みが生じ、日本のファッション業界が抱える、早急に解決すべき大きな課題のひとつとなっている。

こうした時期に強いアイテムが、シーズンレスに活用できるアクセサリーや、企画性の強い商材で、このメッシュキャップは、LAから発信する注目のファッションブランド、オーディン ブックによるホリデーコレクションである。

この手のキャップではあまり見掛けられないレザーとのコンビネーションが新しく、そのパートに抽象的なグラフィックを刺繍でボディに縫い付け、ひと味違うユニークな商材を見事に提案している。またデザイナーのオースティン・シェルバネンコの若く初々しい感性が、いくつかのカルチャーを繋ぎ合わせ、それが結果的に彼の主戦場とするハイファッションの世界で戦う際の確実なアドバンテージとなっている。

ここ数年のインターネットを中心としたメディアによる情報の均質化は、よくも悪くもファッションの世界へ多大な影響を及ぼしている。それによって、2次元であろうと、3次元であろうと関係なく、すべてが均質されたかのような錯覚が生まれ、そこから必然的に情報の歪曲が起き、情報収集の容易さとは裏腹に、魅力を伝達する労力や時間が以前の数倍はかかる厳しい時代となっている。

つまりは、程度や加減はさておき、やや強引に情報を平坦に並べることによって、本来明らかにあるはずの差違がグレーに包まれ、着こなしはおろか、たかだか製品の概要すらもが、非常に読みづらい状況に直面している。そこには、本来なら見えるはずの事柄すらもが隠蔽されてしまうほどの、強固なブラインドが存在している。

これに限らず、解決すべき問題は山積みなのだが、それらの諸問題にいち早く気付き、シーンを活性化を担う多くのクリエイターが適切な活動を行える環境を整え、そのクリエイションを受け取るユーザーとの新しい関係性をどう築けるか。ひいては、モノ、コミュニケーション、さらにその間にある媒体、つまりインターフェイスとをどのように繋ぐことが可能であるが問われはじめている。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Shusei Tsukahara

キャップ 10,500円[税込]

[問]BARNEYS NEW YORK SHINJYUKU
Tel:03-3352-1200

www.barneys.co.jp


www.honeyee.com

top