Chrome Hearts
クリエイションのレベルを更新する、
スペシャリティなジーンズとレザー。
09 12/18 UPDATE
LAでのブランドの設立から20年、クロムハーツ トーキョーの開店から10周年を迎えたクロムハーツ。決して揺らぐことのないブランディングを基盤に、その時々のフィーリングによって、他の世界からエレメントを吸収し、常に時代に対応しながら独自の発展を遂げている。
デザイナーのリチャード・スタークは、ここ数年、日本特有の生産背景に惹かれ、いくつかのアイテムを製作しており、その最新作としてあげられるのが、このジーンズである。
以前からリチャードと親交があった岡山の工場との協業によって、常軌を逸脱した生地を作り上げ、その製作行程を聞くだけでも驚愕の一言である。まずはじめに、古着のデニムを一度綿までほどき、それを再度糸として再生させ染色を行い、デニムの織り地へとし、非常に手間暇をかけ、アイディアと技術を限界まで繋ぎ合わせている。その素材にLAで企画された、新しいディテールとシルエットが乗せられ、なんともここらしい着地点へと到っている。
と説明はしてみたものの、ここまで徹底した製品の味わいは、テキストや写真だけではなかなか情報を伝えきれないもので、この記事はあくまで入り口にすぎなく、やはり店舗で直に手に取り履くことではじめて見える要素が必ずある。セールスは来年以降となるが、クロムハーツ トーキョーでは、すでに受注販売用に店頭にサンプルが並んでいる。まさに2010年の幕開けにふさわしいスペシャルな一本なのである。
一方でそれとは違うベクトルから打ち出されたスペシャリティなコレクションが、リック オウエンスとのレザーアイテムである。世界的にも極少数の販売となるそうで、写真のジャケットはウィメンズのモデルで、メンズも展開されている。リック特有の立体的で非常に着心地に優れたパターンに、クロムハーツが選定した素材や装飾が足され、どちらのブランドのコレクションにも存在しなかったスタイルを形成させている。
以前に彼らはハイカットのスニーカーも発表しているが、このレザージャケットは、さらに互いのフィーリングがリンクした傑作だといえ、希少性・クオリティともに、限りなくプレタポルテの領域のマキシマムに近づき、ある意味で記録として残るほどの完成度となっている。
この2点は、どちらも製作の過程やアプローチこそ若干異なるが、他社との綿密なコミュニケーションがあるからこそ生まれたものであり、ここでもっとも重要なことは、形式的なコラボレ―ションという言葉でなく、あくまでもクリエイションの質や製品の魅力なのである。このパートの更新こそがクロムハーツのレベルを高め、さらに時間を刻み、次の傑作へと向かわせていくのである。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato
ジーンズ 169,050円[税込]
ブルゾン 3,360,000円[税込]
[問]Chrome Hearts Tokyo
Tel:03-5766-1081