honeyee.com ｜Web Magazine「ハニカム」

2009A/Wシーズンのメンズファッションの市場を見渡すと、いつにも増してあらゆるトレンドやスタイルが混在し、すべてを包括するような提案や流れはなきに等しい状態である。ここで一概に正解を導き出すことは難しいが、一部でいくつかの強い提案とそれを支持する動きは、若干ながら見受けられる。

そのなかでも、ネルシャツやアウトドア系のアイテムを有力で、商品からカッティングエッジな商品まで、豊富なバリエーションが出揃っている。

こちらの2点は、リメイクというアプローチをさらに押し上げ、完全に自らの手中へとおさめた、LAのドクター ロマネリのエクスクルーシブアイテムである。「サミット」というテーマに基づき、それに見合うヴィンテージを解体し再構成するという、おなじみの手法で製作している。

このコレクションの面白さは、トレンドの真ん中を進んでいるようにも受け取れるが、そこに辿り着くまでのプロセスがユニークであるため、中身はもちろんのこと、外観にもその違いが現れている、ということに尽きる。それはボタンなどの細かな付属や趣向を凝らしたパッチワークを見れば一目瞭然である。

やはりファッションアイテムに奥行きを与えるには表層への配慮だけでは難しく、さらにこのプライスレンジの世界であれば、スペシャルであることが大前提であり、これがあってこそ、はじめてスタートラインに立つことができる。高いハードルではあるが、これを越えてこその魅力というものがファッションアイテムには確実に存在する。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato