BESS NYC
次のトレンドを示唆するNY発のブランドから
雰囲気重視のスタッズジーンズが登場。
09 11/25 UPDATE
ベスは数シーズン前から日本国内での流通がはじまったNYのファッションブランドで、かなりの勢いで注目されはじめている。そのコレクションは、ここ数年日本でも人気を集めたトラッドを踏襲した部類の衣服とまったく異なる路線で、ある種のヴィンテージ感とロックテイストを分かりやすく打ち出している。
実はこのブランド、設立は2000年とキャリアは短くもなく、決してルーキーといった類いではない。コレクションはジュエリーからスタートし、デビューを飾ったのがラルフローレンのランウェイで、当時から並々ならぬ実力を持っていたのであろう。おそらく日本での情報が滞っていた理由は、ここ数年のトレンドと掛け離れていたため、バイヤーの流通への懸念があったことが第一に挙げられる。だが、この数年の間で、世界のシーンをリードするファッションピープルの多くが彼らの顧客になったことで、それが強力な宣伝効果を生み、知名度を飛躍的に高め、より多くの人の関心を集めた結果、トレンドの変化も重なり、満を持して国内での展開がはじまったというわけだ。
実際に製品も話題性に劣らずユニークで、過去にもありそうな内容に見えつつも、よくよく見るとそうでもなく、独特のスタイルを形成している。生地の風合いは当然のこと、装飾の核となるスタッズひとつとっても、いい意味で粗雑な雰囲気重視で、それが目に写るレベルで確かなムードをつくり出している。ファッションアイテムの製作はこの辺りのさじ加減が非常に重要で、ほんの少しの仕様の変更でバランスが大きく異なってくるため、フィニッシングのゴールは決してひとつではなく、目的に応じてさまざまな答えがある。
このブラックジーンズは2009年からスタートしたベスのアパレルラインのキーアイテムひとつで、サイズ展開のレンジも広く、ウィメンズからメンズまで対応可能となっている。加工は2本それぞれ異なっている。
ここで忘れてはならないのがコーディネイトである。このジーンズは誰がどう見ても万人が似合うアイテムではないことは明らかで、「この難度の高いジーンズをどのように消化できるか」ということが、実質的にユ―ザーのセンスがもっとも問われる重要なパートなのだといえる。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato