BALMAIN
シャープネスかつ快適な着心地を備えた、
メンズモードの新しい形を提案するレザー。
09 11/19 UPDATE
1945年の創業したバルマンは、フランスを代表するメゾンのひとつに数えられる。近年、一時は活動が困難な状況にも追い込まれたが、2006年にクリストフ・ドゥカルナンがクリエイティブディレクターに就任後、快進撃を見せ、いくつかの強烈な存在感をつくり出すことに成功したキーアイテムとともに、いまやウィメンズのトレンドを読む上で欠かせないポジションを獲得している。
先シーズンから展開されたメンズコレクションもにわかに注目を集め、次の時代のムードを創出しはじめている。コレクションはオーソドックスなシーズンごとに一貫性のあるテーマでまとめあげる方法でなく、単体のピースを着実にワードローブとして成立するレベルまで高めていく、というようなメンズファッションに適したアプローチを選択している。
なかでもレザーへのこだわりは強く、レザーアイテムのミックスによって既存のルックを打破しようとする意図と、デザイナー自身がバイクを愛用していることが、コレクションへ大きな影響を与えている。
彼らのコレクションは一見すると、かつてのディオール オムに近い傾向にも見受けられるが、実際に袖を通すと、それと似て非なるものであることが読み取れ、ディオールよりもさらにシャープで立体的なシルエットは、ルックの時点で完成度の高いプロポーションを導き出している。
そのスタイルは、マスキュリンで明確な男性像を映しつつも、根幹に流れているは、このメゾンの好調ぶりを象徴するパワフルなテンションと、ファッションにおけるセクシャリティの境界線を行き来することで得れる独特のムードがある。こちらの2点に関しても、こだわり抜かれたフィッティングは、ディテール以上に製品を語り、快適な着心地と、強い個性を打ち出している。
ウィメンズとメンズのエッセンスを巧みに交差させる新生バルマンのクリエイションは、この先もシーンをリードし続け、新しいスタイルの担い手となる可能性を多分に秘めている。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato