POT LUCK at OPENING CEREMONY
オープニング・セレモニーに魅力的な食のスペースがオープン
09 11/04 UPDATE
10月23日、オープニング・セレモニーの地下1階に、食のスペース「POT LUCK」がオープンした。オープンキッチンスタイルの店内では、鋳鉄でできたフライパンであるスキレットを使ったグリル料理やベトナムスタイルのサンドイッチであるバンミを提供、そして日本初展開となるBLUE BOTTLE COFFEEのコーナーも併設している。トータルディレクションはオープニング・セレモニーCEOのキャロル・リムとクリエイティヴ・ディレクターのフンベルト・リオン、そしてフードディレクションを担当したのは、映画『eatrip』監督としても知られるフードディレクターの野村友里。グランドオープンに合わせて来日中のキャロルとフンベルト、そして野村友里に話を聞いた。
──まず、キャロルとフンベルトにお尋ねします。オープニング・セレモニー初の海外店舗としてのオープンから2ヶ月が経ちましたが、手ごたえはいかがですか?
フンベルト・リオン(以下H)「このショップに関わってくれた多くのデザイナーや取引先から、これまで日本のマーケットにはなかったフィーリングを運んでくれた、と素晴らしい反響をもらっていますよ」
キャロル・リム(以下C)「NYやLAのショップに足を運んでもらっていたお客様にも喜んで頂いています。2つのショップ同様にショッピングを楽しんで頂けつつ各フロアにメンズ/レディスをミックスするなど新しい試みもありますし」
──LA店のように、東京のショップにも各フロアにテーマを設ける上で、ファッションやカルチャーだけでなく、「食」というキーワードを含めることも当初から構想にあったのでしょうか?
C「たまたま洋服のお店から始まったオープニングセレモニーですが、そもそもお店をオープンする際のコンセプトの中には、ファッション同様に飲食という項目もあったんです。今回はその飲食を入れ込むことのできる空間との出会いがあったので、他のフロアを考える時と同じ感覚で、飲食フロアをオープンすることができました」
H「どんなプロジェクトからも新しく吸収できることがあると思っています。東京のショップに今までに学んできたことを注いだように、このプロジェクトによって今後はNYやLAのショップにフィードバックできることもあるかもしれませんね」
──POT LUCKのオープンに際して、お二人は野村友里さんにフードディレクションをお願いすると同時に、サンフランシスコ発のBLUE BOTTLE COFFEEというコーヒーショップのコーナーも設けていますね。まず、このBLUE BOTTLEについてご紹介頂けますか?
C「ここのコーヒーはとてもおいしくて、ベストだと思っています」
H「私たちはいつでも、その道でベストだと思う人々と仕事をしたいと思っているのですが、BLUE BOTTLE COFFEEはとても小さなロースターながら、素晴らしいコーヒーを提供しているので、パートナーとして完璧だと思いましたね。サンフランシスコではとても人気があって、このスペシャルな"経験"を日本の皆さんにも楽しんでもらういい機会だと思ったんです。ユリもここのコーヒーが大好きなんですよ」
野村友里(以下Y)「本当にすごくおいしくて。サンフランシスコに行くと、好きなレストランなどで『おいしいコーヒーがあるんだけど』と薦められるのは必ず、BLUE BOTTLEなんです」
H「彼らはサンフランシスコやNYで豆を卸しているレストランについても、その哲学や経営方針までチェックして厳選しているはずですよ」
C「これまでにもその味の素晴らしさや話題性から、多くの企業がアプローチしてきたようですが、彼らは信頼関係や人柄を大事にするんです。大事な商品・ブランドを預ける相手ですから、その姿勢は素晴らしいと思います」
──それでは、お二人と野村さんとの出会いは?
C「ユリとはこれが初めてのプロジェクトですね」
Y「とはいえ、以前から周りの人を通じてなんとなくの繋がりはあったんです。私は食をアウトプットとして表現する仕事をしていますが、インスピレーションとしてこの二人ともいつか出会えそうな予感がありました。(サンフランシスコの)CHEZ PANISSEで飲んだBLUE BOTTLE COFFEEがおいしかったのが印象に残っていたところに、タイミングと人の縁が繋いでくれましたね。このプロジェクトについては、キャロルやフンベルト、そして現場のスタッフたち、それぞれが持ち寄ったアイディアをうまくミックスできたように思います」
H「他のプロジェクトに関しても言えることですが、友人を介して素晴らしい人に繋がっていくんですよね。クロエ・セヴィニーにしても、日本のクロエであるユリにしても(笑)」
Y「実はこういう形での仕事をお受けしたことはあまりないのですが、彼らにしても、BLUE BOTTLEのジェームスにしても、お互いの顔が見える関係性というのがいいと思いました」
──お店のトータルディレクションはお二人が担当され、野村さんはフード部門のディレクションをされていますが、野村さんは「持ち寄りパーティー」という店名を持つPOT LUCKのコンセプトをお聞きになって、どんなところにポイントを置いたのでしょうか?
Y「オープニング・セレモニーにはショップを通して各フロアにきちんとテーマがあるように、ここPOT LUCKもキャロルとフンベルトによるおもてなしの場になればいいな、と思っていたので、あたたかい空間とあたたかいごはんを提供したいと思いました。あまり型にとらわれずに、渋谷の真ん中ではあるけれど、誰かの家に遊びに来たような感覚を取り入れたくて。例えばちょっとした旅行帰りといった感じで、時々変わったメニューが登場してもいいと思うし。メニューについては、予め二人から、スキレットを使ったグリル料理とバンミをサーブしたいというリクエストがありました。どちらも東京ではあまり馴染みのないものだけれど、日本のテイストをミックスしたりしてみたらいい着地点が見つかって、新しい発見もありました。キャロルとフンベルトとも、ただ一方通行ではないやり取りができたと思います。まずはおいしいスキレット料理とバンミであることを前提に、メニューの内容や素材についてはこれからどんどん変わっていけばいいと思っています。魚のバンミだったら、今はサンマが旬だけれど、シーズンによってはイワシやアジに替えていったりしても面白いですしね」
──そもそも、お二人はなぜスキレット料理とバンミをチョイスしたのですか?
H「NYで一般に親しまれている食文化を東京にプレゼンテーションする目的で選びました。まず、スキレットは持ち寄りのブランチにはぴったりのグリル料理です。日本では朝食をそれぞれの家庭でとることが多いようですが、友だちみんなが集まってシェアするブランチというスタイルを提案したかったんです。にんじんと大根の甘酢漬けをベースにしたサンドイッチに肉や魚を挟むバンミは、今アメリカではとてもポピュラーになっていて、この店の場合は、ユリに選んでもらった旬のフレッシュな素材をお客様がチョイスすることで、オリジナルなサンドイッチを楽しんで頂けます。どちらも、今のところ日本ではあまり出回っていない、スペシャルなところがポイントですね」
──このお店はもちろんオープニング・セレモニーありきだとは思うのですが、野村さんとしては、メニューや食材のチョイスについて、渋谷という立地は意識されましたか?
Y「半分は今ある環境に合わせつつ、半分はこの場所から発信していくつもりでやらせて頂きました。例えば、慌ただしい街には手軽なサンドイッチがぴったりだけれど、内容や素材が本格的であること、それからオリジナリティにはこだわっています。ショッピング中の休憩にも、友だちとの集合場所としても楽しんでもらえたらと思います」
──では最後に、インテリアについてはいかがでしょうか? 他のフロア同様、ユニークな什器も見られますね。
H「天井をウッドフローリングのようにペイントしたり、日常目にするような素材を新鮮に使ってみたかったんです。テーマは遊び心のある温かいキッチンです。カジュアルに親しんでもらえるような、そんな空間になればいいですね」
Text:honeyee.com
POT LUCK at OPENING CEREMONY
東京都渋谷区宇田川町21-1
西武渋谷店モヴィーダ館 OPENING CEREMONY地下1階
Tel:03-5456-7586
10:00~23:00(LO22:30)