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この不況の最中、好調なスタートを切り、そのテンションをキープし続けているロンハーマン。店内には世界各国から集められた多くの商品が並んでいるが、なかでも主役級のポテンシャルを持っているのが、RH ヴィンテージである。

このコレクションはかれこれ15年近く前から展開され、それこそセレブレティからファッションマニアまで、LAのロンハーマンの錚々たる顧客を虜にし、いわゆるショップオリジナルの枠組を越えた恒例としても広く認知されている。

特にカジュアルの基本中の基本であるジーンズの提案力は優れており、トレンドなどを突き抜け、独自の路線を歩んでいる。この4本のパンツは時間を跨ぎコレクションの魅力を読むに適したラインナップである。

左側の2本のジーンズは今季の新作で、デニム自体の質はもとより、職人による丹念な加工によって、それぞれが異なる表情をうまく作り出している。この手のユーズド加工は、技術力はもとよりセンスが問われるのだが、この2本はともにパッチなどの付属品と同じく、やりすぎない加減が着やすさに直結している。この雰囲気を活かすためにもサイズはワンサイズ上を選ぶのが正解であろう。

対照的に右側の2本は、アーカイブ的な目的としても店頭に置かれている、貴重な過去のコレクションである。これらは大胆なスタッズの打ち込みによって、とにもかくにも装飾性とムードで勝負する品々で、ベースが古着であることもあって、すべてのアイテムがファッションの世界でいう「一点モノ」となっている。

この手の商品は装飾に特化した結果、実用性を失ってしまう場合も多々あるが、こうした姿もまたファッションの側面であり、RH ヴィンテージのコレクションはそれを補ってなお余る魅力を有している。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato