m.a.+

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常識の外枠から自らの理想を追求し続ける、
規格外のクリエイティビティを有するブランド。

09 10/06 UPDATE

どこの世界にも常識やセオリーを度外視しながらも絶対的な境地へと辿り着く極めて稀な才能を持った人物がいるが、ma+を主催するマウリツィオ アマデイもそういったタイプのクリエイターである。

彼がかつて所属していた伝説的なブランドとして名高いカルペディエムのプロジェクトを、また違ったベクトルに定め、さらに深く突き進めたスタイルは、同じような傾向であれば、他のファッションブランドの追随を許さないほど抜きん出ている。それは同じような価格帯のプレタポルテと比べても一目瞭然であり、安易に素材・縫製・品質といった項目での差というよりも、ピースごとの密度、トータルの完成度といった部分で、明らかに後続のブランドを大きく上回っている。

読みやすいパートから製品の特徴を述べると、どのピースでも見られる独創的なシームのラインは、装飾ではなくすべてが構造に基づくもので、素材への追求も常軌を逸脱している。例えば、写真右側の極厚のジャージーのブルゾンは、エラスティック0%、つまり伸縮性がないジャージーを用いているため、いわゆるカットソーでありながらも、また別の性格を持ったアイテムとなっている。これは衣服としての耐久と構造を突き詰めた彼らなりの結論なのであろう。もう一方のレザージャケットは、前述のジャージと対照的にしなやかなで、レザー×ウールのコンビネーションで構成されている。内側のウールはいわゆるライニングの観点とは別の意味合いで取り付けられ、レザーとの調和に重点が置かれている。

一見するとma+のコレクションは、エゴイスティックであったり、コミュニケーション能力が欠落しているようにも見えるが、これはただ徹底的にコンセプトを突き詰めただけの結果であって、決して閉じた内容なのではない。確かに彼らの製品は、価格や趣向を踏まえると、確実にターゲット層が限定されるため、万人受けにはほど遠く、実際に似合うキャラクターもかなり絞られるかもしれない。だがメンズファッションとしての深みを追求したという視点であれば、これは現時点でのひとつの到達点だともいえる。それはテイストやクオリティ云々の話ではなく、創作全般における「レベル」という意味においてである。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato

1レザージャケット 374,850円[税込]
2ブルゾン 176,400円[税込]

[問]Lift étage
Tel:03-3780-0163

http://www.lift-net.co.jp


www.honeyee.com

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