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時代を読み新しいアプローチで勝負する、
ユニークなファッションアイテムが登場。
09 9/16 UPDATE
多様化する消費者のファッションへのニーズに対し、製品を提案するクリエイターはこの先どのような対応を見せていくのか。その方向性のひとつを示唆するかのようなアプローチを見せ話題を呼んでいるのが、アルデンテ ラ クリースである。
主催者は、マーク・ジェイコブスのミューズでもあり、ルイ・ヴィトンのジュエリーデザイナーの経歴を持つカミーユ・ミチェリの弟パトリツィオ。彼らは「ポジティブな発想とユーモアでおしゃれに不況を乗り切るための必需品」というコンセプトを旨に、同じアパレルの販売ながらも、いわゆるファッションブランドとは大きく異なるスタンスで活動している。
そのコレクションの内容はというと、全12のスローガンを設け、Tシャツ・タンクトップ・トートバックに、さらっと一版プリントするといった、今時めずらしいアイテムのみで構成され、すでに海外で大受けしているそうだ。
このヒットの要因をほぼすべてを占めるのが、シンプルなレタリングと対照的な、とにもかくにも皮肉めいたメッセージであろう。そのどれもが痛烈極まりない言葉で綴られている。アイテム自体はお世辞でもクオリティを語れるような代物ではないが、そんなことを吹き飛ばしてしまうパワーこそが、このコレクションの最大の魅力である。さらにはビジネスを度外視していることで、ファッションの世界の既存のルールを突き抜けられたことも、この勝利の起因だともいえる。
そのため「今後の展望は?」といった類いの質問を浴びると、瞬時にウィークポイントが筒抜けになるのだが、もうここまでくれば弱点すらもが強力な武器だといえ、先行きはともあれ、これからも力技で突っ切っていくことが予想される。なんとも痛快でタフなコレクションが世に躍り出たのである。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato